※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ペット・セマタリー
(Pet Sematary)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:ホラー
死んだものを取り戻そうとして、取り返しのつかない一線を越えていく話
医師ルイス・クリードは、家族と共に引っ越した先で「死んだものが帰ってくる場所」の存在を知る。最初はペット、次はもっと大切な存在。愛する者を失った悲しみと後悔が、彼を少しずつ狂わせ、戻れない選択へと押し出していく。
ざっくり時系列
医師ルイス一家がラドローに引っ越す
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家の裏に子供たちの作るペット墓地があると知る
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隣人ジャドと親しくなる
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猫チャーチがトラックに轢かれて死ぬ
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秘密の墓地に埋めると、チャーチが蘇る
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蘇ったチャーチの異変が明らかになる
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息子ゲージが交通事故で死亡する
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警告を無視し、ゲージを墓地に埋める
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蘇ったゲージが殺戮を始める
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すべてを失ったルイスが最後の賭けに出る
物語の主要人物
・ルイス・クリード
メイン州に赴任してきた医師。
・レイチェル・クリード
ルイスの妻。死に強い恐怖を抱えている。
・エリー・クリード
長女。感受性が強い少女。
・ゲージ・クリード
幼い息子。物語の転換点となる存在。
・ジャド・クランドール
隣人の老人。秘密の墓地を知る人物。
引っ越してきた家の裏にあった、越えてはいけない場所
ラドローの家は一見すると理想的だったが、家の前の道路では頻繁に事故が起きる。裏山には子供たちが作ったペット墓地があり、そのさらに奥には、もっと古く、危険な場所が存在していた。ルイスはその存在を知りつつも、軽く考えてしまう。
失ったものは、元には戻らない
猫チャーチは確かに戻ってきた。しかし、それは「同じ存在」ではなかった。臭い、行動、雰囲気、すべてが微妙に違う。それでもルイスは、愛する存在を失う恐怖の前では、その違和感を見ないふりをしてしまう。
愛と後悔が導く、最悪の選択
息子ゲージの死は、ルイスの理性を完全に壊す。警告も、過去の惨事も理解していながら、彼は同じ行為を繰り返す。その結果起こる出来事は、復活ではなく連鎖的な破壊だった。
この小説のポイント
・「もし戻せたら」という感情の怖さ
・死を受け入れられない人間心理の描写
・善意が最悪の結果を招く構造
・静かな日常から崩れていく恐怖
たぶんこんな小説
派手な怪物より、心の弱さがいちばん怖い一冊。読み進めるほど、「やめておけ」と分かっているのに止まらない感じが続く。読後に残るのは恐怖よりも、どうしようもない後悔の重さ。キング自身が「一番怖かった」と言うのも納得できる話。

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