※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
クリプトノミコン2 エニグマ
著者:ニール・スティーヴンスン
暗号と金塊とネットが、戦争と現代で絡み合っていく話
第二次世界大戦下、連合軍の暗号戦に関わるローレンスは、エニグマ暗号を使うUボートを追う任務の中で、想定外に高度な新型暗号と大量の金塊の存在に突き当たる。一方、現代ではネット事業に関わるランディが、フィリピン沖で海底ケーブルを敷設中、沈没した大戦中の潜水艦を発見する。半世紀の時間差を越えて浮かび上がる二隻の潜水艦の関係と、暗号を巡る秘密が、戦争と現代を行き来しながら少しずつ繋がっていく。
ざっくり時系列
第二次世界大戦中、ローレンスが暗号戦支援で派遣される
↓
Uボートとエニグマ暗号を巡る作戦に関わる
↓
座礁したUボートを調査する
↓
未知の高度な暗号と金塊を発見する
↓
時代が現代に移る
↓
ランディがネット事業で海底電線を敷設する
↓
沈没した大戦中の潜水艦を発見する
↓
過去の出来事と現代の発見が結びついていく
物語の主要人物
・ローレンス
第二次世界大戦中、連合軍側で暗号解読に関わる人物
・ランディ
現代パートの主人公。ネット事業と海底ケーブル敷設に携わる
エニグマとの戦いから始まる戦時パート
戦時パートでは、エニグマ暗号を使って通信を秘匿するUボートに対抗するため、暗号がどれほど重要な武器だったのかが描かれる。ローレンスは単なる現場要員ではなく、数学や論理、運用の知識を総動員して戦争に関わっていく立場にある。
クフルム島での任務は、単に敵を追い詰める話では終わらない。座礁したUボートの調査をきっかけに、エニグマを超える暗号と金塊という、明らかに戦争の表舞台とは別の目的を感じさせる存在が現れることで、物語は一段深いところへ進んでいく。
現代パートで再浮上する過去の痕跡
現代では、舞台が一気にネットとインフラの世界へ移る。ランディは理論やアイデアだけでなく、現実の海底にケーブルを敷くという物理的な作業に関わっている。
そこで見つかる沈没潜水艦は、歴史の遺物であると同時に、戦時パートで描かれた出来事の延長線上にある存在だと示されていく。暗号、金、潜水艦という要素が、時代を越えて一本の線にまとめられていく過程が、この巻の大きな流れになっている。
二つの時代が重なった先に見えるもの
物語の後半では、戦時と現代の出来事が互いを照らし合うように配置される。なぜそんな暗号が必要だったのか、なぜ金塊がそこにあったのか、その意味が少しずつ具体的になる。
全てが一気に説明されるわけではなく、「そういう理由で繋がっていたのか」と理解が追いついていく感覚が続く。過去の判断や偶然が、現代のビジネスや技術に影を落としている構図がはっきりしてくる。
この小説のポイント
・暗号を中心に据えた戦時と現代の二重構造
・数学、技術、戦争が密接に絡む描写
・潜水艦と金塊という具体物が物語を動かす
・時間差で配置されたエピソードが後から効いてくる構成
たぶんこんな小説
専門的な話が多いのに、不思議と置いていかれない感じが続く。過去と現代を行ったり来たりしながら、「情報って何だろう」と考えさせられる。巨大な歴史の流れと、技術オタク的な視点が同時に転がっている一冊。

コメント