※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ドラゴンの眼
(The Eyes of the Dragon)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:ファンタジー
王子が無実の罪で塔に閉じ込められて、静かに国を取り返す話
舞台はデレイン王国。語り手が読者に話しかけてくる感じで進む、ちょっと昔話っぽいファンタジーだよ。
心優しい王妃サーシャが王国を支えてたのに、王の魔術師フラッグが全部ぶち壊しにかかる。長男ピーターは立派すぎて邪魔、次男トーマスは嫉妬でぐらぐら。フラッグはそこを突いて王を毒殺し、ピーターに罪をなすりつけて「ニードル」っていう高い塔へ幽閉しちゃう。そこからピーターは、派手に剣で戦うんじゃなくて、忍耐と工夫でじわじわ逆転を狙っていく。
ざっくり時系列
フラッグが王国を滅ぼそうとする
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王妃サーシャが計画を邪魔し、長男ピーターが生まれる
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フラッグが助産婦を使い、サーシャが次男トーマス出産時に死ぬ
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成長した兄弟、ピーターは父に愛され、トーマスは嫉妬が強くなる
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フラッグがトーマスを懐柔し、城の秘密(ドラゴンの飾りの隠し場所)を教える
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ピーターが毎晩ワインを届ける習慣を利用され、毒入りワインで王ローランドが死亡
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フラッグが証拠をでっち上げ、ピーターが有罪でニードルに幽閉される
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幼いトーマスが即位し、フラッグが権力を握る
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ピーターがドールハウスとナプキンを要求し、5年かけて脱出用のロープを作る
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ピーターが脱獄し、仲間と合流して王国の真相へ迫る
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トーマスが「毒殺を見た」と告白し、フラッグは姿を消して逃げる
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ピーターが正当な王と宣言され、トーマスとデニスがフラッグを追って旅立つ
物語の主要人物
・ピーター王子
デレインの長男。王の死の罪を着せられ、ニードルに幽閉される
・トーマス王子
デレインの次男。兄への嫉妬と未熟さをフラッグに利用される
・フラッグ
王の魔術師。王国を混乱させるために暗躍する
・ローランド王
デレイン王国の王。毒入りワインで命を落とす
・サーシャ王妃
ローランドの妻。フラッグの策略で出産時に命を落とす
・アンダース・ペイナ法官
ピーターを裁く法官。のちに王子の無実を確信していく
・デニス
王家に仕える執事。ピーターやトーマスの行く末に深く関わる
優しい王妃が消えて、王国がゆっくり壊れていく
フラッグはデレインを滅ぼしたいのに、サーシャ王妃がいるせいで思うようにいかない。そこで彼は、次男トーマスの誕生に合わせて助産婦を操り、サーシャを出血多量で死なせてしまう。王国の空気が一気に冷える。
その後、兄弟が育つにつれて差が広がる。ピーターは父に愛され、トーマスは兄の影に押しつぶされそうになる。そこへフラッグが寄り添ってくるのが、もう嫌な予感しかしないやつ。
毒殺の夜、ドラゴンの目が全部見てしまう
ピーターは毎晩、父にワインを持っていく習慣を始める。フラッグはそこに毒ドラゴンサンドを混ぜ、王ローランドを殺す。しかも、トーマスは城のドラゴンの頭飾りの裏から、ガラスの目越しにその場面を見てしまう。
でも怖くて言えない。結果、ピーターはあっさり有罪にされ、街の中心の塔ニードルへ。トーマスは12歳で王になって、フラッグに権力を渡してしまう。王国がフラッグ色に染まっていく感じが、じわじわ効いてくる。
塔の中で5年、ナプキンが脱出の武器になる
幽閉されたピーターは、いきなり暴れたりしない。代わりに法官ペイナへ、母の古いドールハウスと食事用ナプキンを持ち込んでほしいってメモを送る。ぱっと見、無害すぎるお願い。
でも5年後、その“無害さ”が効いてくる。ドールハウスのおもちゃの織機と、ナプキンの糸でロープを作り、ピーターはニードルから脱走する。静かだけど、めちゃくちゃ痛快な抜け方。
この小説のポイント
・語り手が読者に話しかけてくる昔話っぽい語り口
・フラッグの陰湿さと、王国が壊れていく過程のじわじわ感
・ピーターの「力技じゃない逆転」が気持ちいい
・兄弟のすれ違いが、最後の場面で効いてくる
たぶんこんな小説
中世っぽい王国で、善と悪がわかりやすくぶつかる王道ファンタジーなんだけど、進め方は派手さよりも“策略と積み上げ”が楽しいタイプ。塔の中の時間とか、人の心の弱さとか、そういうのを物語としてスイスイ読ませてくる。読み終わる頃には、ドラゴンの目のイメージがずっと頭に残る感じ。

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