トム・ゴードンに恋した少女ってどんな話?ざっくり時系列で整理

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。




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トム・ゴードンに恋した少女
(The Girl Who Loved Tom Gordon)

作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:サイコホラー

迷子の9歳が、推し投手のラジオ実況だけを相棒に森を生き抜く話

家族ハイキング中、9歳のトリシャが森で迷子になる。頼れるのは少ない食料と水、ポンチョ、ゲームボーイ、ウォークマン。彼女はウォークマンで野球中継を聞き、お気に入り選手トム・ゴードンの存在を心の支えにしながら、森の奥をさまよい続ける。
でも怖いのは空腹や寒さだけじゃない。恐怖と疲労が重なって、森のどこかに「ハチのような顔をした邪悪な存在」がいる気がしてくる。これは遭難サバイバルであり、心が折れそうな9歳が自分の中の闘志を掘り起こす話でもある。

ざっくり時系列

家族でハイキング、母と弟が口論を続ける

トリシャがトイレのために道を外し、戻れなくなる

近道しようとして斜面で転落、森の奥に迷い込む

所持品だけで行動開始(食料・水・ポンチョ・ゲームボーイ・ウォークマンなど)

ウォークマンで捜索情報やトム・ゴードンの試合を聞いて気持ちを保つ

家族が警察に通報、救助隊が捜索するが範囲が合わない

小川沿いに進めば人里に出ると考えて進むが、環境が悪化する

夜、恐怖と疲労で幻覚を見るようになる

「失われた神」みたいな邪悪な存在に追い詰められていると確信し始める

肺炎で瀕死になりながらも道へ出る

クマと遭遇し、最後の踏ん張りで対峙する

ハンターが現れて救助される

病室で目覚め、両親と兄が待っている

トム・ゴードンのサイン入り帽子を父に頼み、空を指差す仕草で締まる

物語の主要人物

・トリシャ
 9歳の少女。森で迷子になり、ウォークマンの野球中継を心の支えにする

・母
 ハイキング中に口論を続け、結果としてトリシャが離れてしまう

・ピート
 トリシャの弟。母と口論している

・父
 離婚しているが、最後には病室でトリシャを迎える

・トム・ゴードン
 トリシャの憧れの野球選手。直接会わないのに、彼女の中で支えとして機能する

一瞬のすれ違いが、森のど真ん中へ連れていく

母と弟の言い争いが続く中、トリシャは聞きたくなくて少し後ろへ下がり、トイレ休憩で道を外れる。たったそれだけで、家族の姿が消える。
慌てて追いつこうとして近道を選び、斜面で滑って転落。気づけば森の奥深く。これ、最初の段階から「やっちゃった」の絶望感が強い。

所持品が少なすぎるのに、頭は止まらない

残っているのは水、少しの食べ物、ポンチョ、ゲームボーイ、ウォークマン。特にウォークマンがデカい。
彼女は気持ちを上げるために音楽を聴いたり、捜索の情報を期待してラジオをつけたり、トム・ゴードンの試合を追ったりする。
森の中で「いつもの世界」を繋ぐ糸が一本ある感じで、ここがめちゃくちゃ効いてくる。

水の理屈と、心の限界

『大草原の小さな家』の知識を頼りに、小川沿いに進めば人里に出ると理屈づける。子どもなりに考えてるのが切ないし、同時にリアル。
でも小川はすぐに沼っぽくなっていき、状況は悪くなる。夜は寒い。腹も減る。喉も渇く。そうなると怖いのは、現実だけじゃなくなる。
トリシャは幻覚を見るようになり、過去に関わった人やトム・ゴードンが目の前に現れるように感じる。

森の中の敵が、現実なのか心なのか分からなくなる

日が過ぎるにつれて、トリシャは「ハチのような顔をした邪悪な存在」に追い詰められていると確信し始める。失われた神、みたいなやつ。
ここがサイコホラーっぽさの核で、森という現実の危険と、心が作り出す恐怖がごっちゃになって、彼女の世界が狭くて濃くなっていく。

9回裏、試合を終わらせる

肺炎で瀕死になりながら道に出た瞬間、今度はクマに遭遇する。トリシャはそれを「失われた神の変装」と解釈する。
それでも彼女は「9回裏」だと感じて、試合を終わらせなきゃいけないと思う。トム・ゴードンの真似で投手の構えを取り、ウォークマンを野球ボールみたいに投げる。これがクマの顔に当たって、クマがひるむ。
そこにハンターが現れて、獣を追い払い、トリシャを安全な場所へ連れて行く。トリシャ自身も「助かった」ことをちゃんと分かっている。

この小説のポイント

・迷子サバイバルなのに、相棒が野球中継という独特さ
・恐怖と幻覚が重なっていく心の描き方
・子どもの理屈と根性が、ギリギリの現実を押し返す展開
・最後の「9回裏」のイメージが物語を一本にまとめる

たぶんこんな小説

派手な怪物バトルじゃなくて、森と孤独と体調不良が相手。なのに読んでると、野球の試合みたいに「次の一手」を積み重ねていく感じがある。トム・ゴードンっていう存在が、現実の救命ロープでもあり、心の支柱でもあって、読後に静かに残るやつ。

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