※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ブラック・ハウス
(Black House)
作品データ
著者:スティーヴン・キング/ピーター・ストラウブ
ジャンル:ホラー/ダークファンタジー
大人になった少年が、世界の終わりを止めるため再び扉を開く話
『タリスマン』から約20年後。かつて異世界を旅した少年ジャック・ソーヤーは、その記憶をほぼ失ったまま大人になり、伝説的な刑事として生きてきた。引退後に移り住んだウィスコンシン州フレンチ・ランディングで、子供を狙う凶悪な連続殺人事件が起こる。
やがてそれは、単なる猟奇事件ではなく、世界そのものを壊すための動きだと判明する。忘れていた力、忘れていた使命、忘れていた恐怖。ジャックは再び、現実とテリトリーの境界へ引き戻されていく。
ざっくり時系列
フレンチ・ランディングで子供を狙う連続殺人が発生
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犯人は「フィッシャーマン」と呼ばれ、町が恐怖に包まれる
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元刑事ジャック・ソーヤーは捜査協力を拒否する
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4人目の子供がさらわれ、ジャックは無視できなくなる
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事件がテリトリーとダーク・タワーに関係していると判明
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フィッシャーマンがクリムゾン・キングの手先だと分かる
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さらわれた少年タイラーが強力なブレーカーだと判明
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ジャックの抑圧された記憶と力が目を覚まし始める
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世界の崩壊を防ぐため、ジャックが再び立ち上がる
物語の主要人物
・ジャック・ソーヤー
元ロサンゼルス市警の伝説的刑事。『タリスマン』の主人公
・フィッシャーマン
子供を狙う連続殺人犯。クリムゾン・キングのエージェント
・タイラー・マーシャル
誘拐された少年。極めて強力なブレーカーの素質を持つ
・クリムゾン・キング
ダーク・タワーを破壊しようとする存在
静かな田舎町に忍び寄る異常
舞台はメイン州じゃなく、ウィスコンシン州の小さな町フレンチ・ランディング。ここで起こる連続殺人は、過去の猟奇殺人犯アルバート・フィッシュを模倣した異様な手口で、被害者は子供ばかり。
警察は手詰まりで、町の不安はメディアによって煽られていく。キング作品にありがちな「日常がじわじわ壊れていく感じ」が、かなり重たく描かれる。
忘れたはずの少年時代が、音を立てて戻ってくる
ジャックは『タリスマン』の冒険をほぼ完全に忘れている。でも自然の風景や、ふとした出来事が、かつてテリトリーで感じた感覚を呼び起こす。
警察からの協力要請を拒み続けるのは、正義感がないからじゃなく、関われば自分が壊れると分かっているから。ここが、大人になった続編主人公らしくてしんどいところ。
フィッシャーマンの正体と、世界規模の危機
捜査が進むにつれ、フィッシャーマンは普通の人間じゃないと分かる。彼はテリトリーへ転向でき、目的は殺人そのものじゃない。
狙いは「ブレーカー」と呼ばれる特別な子供たち。その中でもタイラー・マーシャルは、ダーク・タワーを支える梁を壊せるほどの存在だった。
つまりこれは、田舎町の連続殺人事件であり、同時に全世界の存亡がかかった戦いでもある。
ジャック・ソーヤーという最後の希望
フィッシャーマンが異世界を行き来できる以上、対抗できるのは同じ力を持つ存在だけ。
抑え込んできた記憶と力を取り戻し、ジャックは再び「境界を越える者」として立ち上がる。ここから物語は、完全にダーク・タワー世界の文脈へ踏み込んでいく。
この小説のポイント
・少年冒険譚だった『タリスマン』の、重くて容赦ない続編
・連続殺人ホラーと宇宙規模の危機が同時進行する構造
・忘却と再覚醒をテーマにした大人の物語
・ダーク・タワーシリーズとの濃い接続
たぶんこんな小説
前作のワクワク感より、ずっと暗くて重い。ヒーローはもう子供じゃなくて、傷を抱えた大人。町の恐怖と世界の終わりが同じ線上にあって、逃げ場がない感じが続く。シリーズを追ってきた人ほど、「ここまで来たか…」って静かに唸るタイプの一冊。

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