※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ジェラルドのゲーム
(Gerald’s Game)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:サスペンス/心理ホラー
ベッドに繋がれたまま、過去と正面衝突する話
湖畔の別荘で、夫との行為が一転して悪夢になる。手錠でベッドに繋がれたまま、夫は心臓発作で死亡。助けは来ない。残されたのは、逃げ場のない身体と、頭の中で語り出す複数の声。生き延びるための闘いは、同時に、ジェシーが長年閉じ込めてきた記憶と向き合う闘いでもあった。
ざっくり時系列
湖畔の別荘で夫婦の「ゲーム」が始まる
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ジェシーが拒絶し、夫が心臓発作で死亡
↓
手錠をかけられたまま孤立する
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頭の中で複数の声が語り出す
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幼少期の記憶が呼び起こされる
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謎の男スペース・カウボーイが現れる
↓
極端な方法でベッドから脱出する
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別荘を脱出し事故に遭う
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事件後、真相と向き合い人生を立て直す
物語の主要人物
・ジェシー・バーリンゲーム
主人公。別荘で極限状態に置かれ、自分自身と向き合う。
・ジェラルド・バーリンゲーム
ジェシーの夫。物語冒頭で死亡する。
・グッディ・バーリンゲーム
ジェシーの内面に現れる「良き妻」の声。
・パンキン
10歳の頃のジェシーの人格。
・ルース・ニアリー
大学時代の友人。ジェシーの過去と深く関わる。
・スペース・カウボーイ
別荘に現れる痩せた男。ジェシーの恐怖の象徴。
静かな別荘で一気に詰む
思いつきの休暇、軽い刺激のつもりだった「ゲーム」。だがジェシーが拒んだ瞬間、状況は取り返しのつかない方向へ転がる。夫は死に、ジェシーはベッドに繋がれたまま。誰も来ない、逃げられない。恐怖は外からではなく、静かな寝室の中でじわじわと広がっていく。
頭の中が一番うるさい
水も自由も奪われ、ジェシーは自分の中の声と会話し始める。助けを待てと言う声、幼い自分、切り捨てた友人、かつての心理学者。会話を辿るうち、彼女は子どもの頃に封じ込めた記憶へと近づいていく。見ないふりをしてきた出来事が、今の自分を縛っていることに気づいていく。
生き延びるために、全部を思い出す
脱出のためにジェシーが選んだ方法は、痛みも覚悟も必要なものだった。肉体を縛る手錠を外す行為は、同時に、過去の支配や恥と決別する行為でもある。別荘を出たあとも、恐怖は完全には消えないが、彼女はついに「目をそらさない」選択をする。
この小説のポイント
舞台はほぼ一室、登場人物も最小限。それでも密度が異常に高い。外敵よりも、自分の中にある恐怖や記憶が主役になっていく構造が、この物語の一番の緊張感になっている。
たぶんこんな小説
派手な事件は少ないのに、読んでいる間ずっと息が詰まる感じがある話。身体の拘束と心の拘束が重なって、少しずつほどけていく過程を見せられる一冊。読み終わる頃には、最初の状況とはまったく違う重さで残る物語。

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