※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
死者は嘘をつかない
著者:スティーヴン・キング
死者が見える少年が、成長と災厄のど真ん中を生き抜く話
「ぼく」ことジェイミーは、死者が見えて、しかも会話ができる。死者は嘘をつけない。その能力のせいで周囲の大人たちの事情に巻き込まれ、助け、利用され、守られながら育っていく。やがて一つの事件を境に、彼自身の人生に奇怪で逃げ場のない流れが押し寄せ、少年の物語はホラーとして加速していく。
ざっくり時系列
幼い頃から死者が見える
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死者のルールを知る(現れる場所、消えるまで、嘘がつけない)
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母の仕事や周囲の大人たちと関わり、能力が役立つ場面が増える
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警察や作家など、さまざまな思惑に巻き込まれる
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ある事件が起き、ジェイミー自身が中心人物になる
↓
奇怪な出来事が連なり、過去と現在が結びついていく
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最後に、彼の人生と能力の意味が浮かび上がる
物語の主要人物
・ジェイミー
死者が見え、会話できる少年。語り手。
・母
文芸エージェント。ジェイミーの能力を理解し、守ろうとする。
・伯父
若年性認知症を発症している家族。
・女性刑事
母の親友。事件捜査に関わる。
・名誉教授
同じアパートに住む引退した学者。
・売れっ子作家
母のクライアント。物語の鍵となる存在。
死者が現れる世界で、少年の日常が始まる
ジェイミーの世界では、死者は死んだ場所の近くに、死んだ姿のまま現れる。長くは留まらず、数日で薄れて消えていく。普通の人には気配程度でも、彼には言葉がはっきり届く。そして、死者は真実しか語らない。この設定が、日常のすぐ隣にある異界として、静かに物語を動かし始める。
能力ゆえに、大人たちの事情に巻き込まれていく
母の仕事、警察の捜査、作家の過去。ジェイミーの能力は、誰かの助けになり、同時に重荷にもなる。善意と打算が入り混じる中で、少年は否応なく現実を知っていく。ここで描かれるのは、派手な怪異より、人間の思惑が生む歪みだ。
事件をきっかけに、恐怖が個人的になる
ある出来事を境に、奇怪な現象は一気にジェイミー本人へ向かう。過去の選択、聞いてしまった真実、見てしまった死者。それらが連鎖し、逃げ場のない状況が形作られていく。成長の物語が、ホラーとして深く沈み込む瞬間だ。
この小説のポイント
・死者のルールが物語の軸として一貫している
・少年の成長とホラーが自然に結びつく構成
・能力が救いにも災いにもなる描き方
・人間関係の描写が濃く、怪異が身近に感じられる
たぶんこんな小説
静かな語り口で始まり、いつの間にか日常の足元が崩れていく感じ。怖さは派手に叫ばず、じわじわ染み込むタイプで、読んでいると登場人物たちの人生に自然と引き込まれる。最後まで気を抜かせず、読み終えた後に余韻が残る一冊。

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