※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
心霊電流
(Revival)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:ホラー小説/幻想小説
人を救うはずの電気が、人生と死後を全部ひっくり返す話
小さな町で出会った牧師と少年の縁が、数十年の時を越えて歪んだ形で再び交わる。
病を治し、絶望を遠ざけるはずだった「電気」は、やがて人の心と魂に取り返しのつかない痕跡を残していく。
これは奇跡の物語であり、同時に、知ってはいけない真実に触れてしまった人間の末路の話でもある。
ざっくり時系列
牧師チャールズ・ジェイコブスが町に赴任する
↓
電気を使った治療で少年の兄が回復する
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牧師の家族が事故で亡くなり、彼は町を去る
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少年ジェイミーは成長し、音楽とドラッグに溺れる
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見世物師となったジェイコブスと再会する
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電気治療の副作用が各地で現れ始める
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ジェイコブスが「秘密の電気」に辿り着く
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死後の世界を覗く最終実験が行われる
物語の主要人物
・ジェイミー・モートン
物語の語り手。少年時代に牧師と出会い、その後の人生で再び関わる
・チャールズ・ジェイコブス
電気に魅せられた元牧師。治療と実験を続ける人物
・コンラッド・モートン
ジェイミーの兄。事故で話せなくなるが、電気治療を受ける
・アストリッド
ジェイミーの幼なじみで恋人。重い病を患う
・ヒュー・イェーツ
ジェイミーの知人。電気治療を受けた経験を持つ
小さな奇跡から始まる、不穏な約束
物語の始まりは、とても穏やかだ。
新しく町に来た牧師ジェイコブスは人柄も良く、子どもたちに電気の面白さを語る存在だった。
彼の施した低電圧の治療によって、話せなかった少年が回復したとき、それは誰の目にも奇跡に見える。
失われた信仰と、歪んだ治癒
だが、牧師の人生は家族の事故死によって一変する。
信仰を失った彼は町を去り、その後は見世物的な電気実験や、治療行為を繰り返すようになる。
成長したジェイミーが再会したジェイコブスは、人を救いながらも、どこか取り返しのつかない領域へ踏み込んでいる存在だった。
覗いてしまった、その先
長年の研究の果てに、ジェイコブスは死後の世界を確認する実験を実行する。
電気によって開かれた扉の向こうにあったのは、安らぎでも救済でもない。
そこは「ヌル」と呼ばれる、逃れようのない混沌の世界だった。
この体験は、関わった者すべての人生を静かに、そして確実に壊していく。
この小説のポイント
・少年時代から老年期までを貫く長い時間軸
・科学と信仰、奇跡と代償の境界を描いている
・派手さよりも、後からじわじわ残る恐怖
・死後というテーマを真正面から扱った構成
たぶんこんな小説
前半はどこか懐かしく、静かな成長物語のように進んでいく。
けれど読み進めるほどに、不安と違和感が積み重なっていく。
最後に残るのは、派手な恐怖ではなく、逃げ場のない感触と余韻。
ページを閉じたあとも、しばらく頭から離れないタイプの一冊。

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