※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
眠れる美女たち
著者:スティーヴン・キング/オーウェン・キング
女だけが眠り、世界がじわじわ壊れていく話
小さな町ドゥーリングの女子刑務所から始まった奇妙な眠りは、やがて世界中へ広がっていく。女性だけが眠りに落ち、白い繭に包まれて目を覚まさなくなる「オーロラ病」。無理に起こそうとすれば凶暴化し、起きている人間に牙をむく。現実世界が混乱に沈む一方、眠った女性たちは廃墟のような異世界で目を覚まし、協力しながら生き延びようとする。そんな中、ただ一人この現象に左右されない謎の女が、物語の中心に静かに立っている。
ざっくり時系列
ドゥーリングの女子刑務所で女性受刑者が眠り始める
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眠った女性が白い繭に覆われ、目を覚まさなくなる
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現象は「オーロラ病」と名付けられ、世界中に拡大
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起こそうとすると患者が凶暴化することが判明
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眠った女性たちは異世界で目を覚ます
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現実世界では恐怖と不安から暴走する者が現れる
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唯一眠らない謎の女の存在が注目される
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二つの世界の選択が、衝撃的な結末へ向かっていく
物語の主要人物
・謎の女
オーロラ病にかからず、ドゥーリングに現れる存在
・ドゥーリングの女性受刑者たち
最初に眠りにつき、異世界で行動を共にする女性たち
・ドゥーリングの男性たち
現実世界で混乱と恐怖に飲み込まれていく側の人々
すべては小さな町の刑務所から始まった
物語の舞台は、どこにでもありそうな小さな町ドゥーリング。女子刑務所で起きた異変は、最初は理解されず、偶然や病気として片付けられそうになる。でも、眠った女性たちが次々と白い繭に包まれていく光景は、否応なく人々の不安を煽っていく。そこに現れる、異様なほど落ち着いた謎の女。この町が、世界的な異変の起点だと少しずつ分かっていく。
女たちの異世界と、男たちの現実
眠った女性たちが目覚めた場所は、文明が崩れ落ちたような異世界。年齢も立場も違う彼女たちは、過去のしがらみを一旦置き、生き延びるために結束していく。一方、現実世界では女性だけが眠り続けるという状況に、男たちの恐怖と猜疑心が膨らんでいく。守ろうとする者、支配しようとする者、破壊に走る者。静かに始まった現象は、人間の本性をむき出しにしていく。
選ばれる世界、選ばれない世界
謎の女の正体と目的が少しずつ明らかになり、眠りは単なる病気ではないことが見えてくる。異世界で築かれ始めた新しい秩序と、現実世界で加速する混乱。そのどちらを選ぶのか、誰が決めるのかという問いが突きつけられ、物語は大きな決断の瞬間へ向かっていく。
この小説のポイント
・パンデミックを題材にしながら、恐怖の描き方がじわじわ進行する
・異世界と現実世界、二つの視点が並行して進む構成
・性別によって分断された世界で、人間の行動が対照的に描かれる
・謎の女という存在が、物語全体を静かに支配している
たぶんこんな小説
静かに眠りが広がっていく不気味さと、そこから噴き出す人間の不安や暴力が重なっていく感じ。派手な怪物よりも、人が追い詰められたときに何をするかをじっと見せてくるタイプで、読み進めるほど空気が重くなっていく。SFとホラーが混ざり合いながら、最後には価値観を揺さぶってくる一冊。

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