※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ダークタワー I ガンスリンガー
(The Gunslinger)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:ダーク・ファンタジー
黒衣の男を追い続ける最後のガンスリンガーが、最初の大きな代償を払う話
世界は「移り変わり」、かつての文明の影だけが残っている。最後のガンスリンガー、ローランド・デスチェインは、長年追い続けてきた宿敵・黒衣の男を追って砂漠を歩く。その旅の途中で少年ジェイクと出会い、束の間の同行を経て、ローランドは自分の目的のために決定的な選択を下すことになる。
ざっくり時系列
黒衣の男を追って砂漠を旅する
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農夫ブラウンのもとで過去の出来事を語る
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町タルでの大量殺戮の記憶が明かされる
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廃墟の中継地点で少年ジェイクと出会う
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ジェイクが別の世界から来た存在だと判明
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砂漠を越え、山へ向かう
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地下トンネルでスロー・ミュータントに襲われる
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奈落の前で、ローランドが選択を下す
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黒衣の男と対面し、宇宙規模の真実を知らされる
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西へ向かう旅が続いていく
物語の主要人物
・ローランド・デスチェイン
最後のガンスリンガー。ダークタワーを目指す男。
・黒衣の男
ローランドの宿敵。謎めいた存在。
・ジェイク・チェンバース
別の世界から来た少年。ローランドと旅をする。
・ブラウン
砂漠の農夫。ローランドに一夜の宿を与える。
世界はもう壊れていて、それでも旅は始まる
物語は、ひたすら乾いた砂漠を歩くローランドの姿から始まる。世界には西部劇の名残がありながら、どこか歪んだ現代の影も混じっている。歌の断片やガソリンスタンドの神格化など、説明されない違和感が積み重なり、読者は少しずつこの世界の異常さを感じ取る。
少年との出会いと、過去の重さ
ジェイクとの出会いは、ローランドにとって束の間の人間らしさを取り戻す時間でもある。同時に、回想ではローランドの過酷な少年時代が語られる。早すぎる決闘、師との戦い、犠牲を前提とした成長。そのすべてが、彼を今の存在へと作り上げている。
選ばれた道と、取り返しのつかない結末
山中で黒衣の男に近づくにつれ、ジェイクは自分の運命を察し始める。そして訪れる、逃げ場のない瞬間。ローランドは目的を優先し、少年を犠牲にする。その後に語られる黒衣の男の言葉は、ダークタワーと宇宙そのものへと視野を広げ、ローランドの旅がどれほど大きなものかを示す。
この小説のポイント
・西部劇とファンタジーが混ざった独特の世界観
・説明されすぎない断片的な語り
・主人公が最初から完成されていない構造
・シリーズ全体の出発点としての重さ
たぶんこんな小説
派手な冒険というより、黙々と歩き続ける旅の記録みたいな一冊。読んでいると、何か大事なものが少しずつ削られていく感じがある。後味は軽くないけど、この先に続く長い物語の入口として、妙に忘れにくい空気が残る。

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