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ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ミネルヴァ計画
著者:ジェイムズ・P・ホーガン
並行宇宙の自分から電話が来て、シリーズの全部が一気につながる話
ハント博士のもとに届いたのは、並行宇宙にいる別バージョンの自分自身からの通信。そこから物語は、マルチヴァースを横断する時空移動、地球人とテューリアンの協力、そして太古の惑星ミネルヴァで再起を狙うジェヴレン人へと広がっていく。長く続いたシリーズの謎やテーマが、最後にまとめて動き出す一冊。
ざっくり時系列
別宇宙のハントから通信が届く
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並行宇宙の存在が具体的な問題として浮上する
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地球人とテューリアンが協力して時空移動を探る
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5万年前に消えたはずのジェヴレン人が動き出す
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惑星ミネルヴァをめぐる計画が明らかになる
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シリーズ全体の構図が一本につながる
物語の主要人物
・ハント博士
人類側の中心人物。別宇宙の自分との接触で状況の核心に迫る
・テューリアン
地球人と協力関係にある異星文明
・ブローヒリオ
ジェヴレン人の一人。過去から続く計画の担い手
もう一人の自分が投げてくる、想像を超えた問い
物語は、ハント博士が「別の自分」から連絡を受けるところから始まる。これは単なるSF的ギミックではなく、これまでシリーズで積み重ねてきた科学観や世界観を一段上の視点から見直す装置として機能している。自分とは何か、文明とは何か、という問いがいきなり核心に置かれる。
協力関係が試される、マルチヴァースの現実
地球人とテューリアンは、マルチヴァースを横切る時空間移動の可能性を探っていく。理論だけでなく、政治的判断や文明同士の価値観も絡み、単純な冒険譚にはならない。ここで描かれるのは、科学が進んだ先でも避けられない選択と責任だ。
太古から続く計画が、現在に牙をむく
一方で、5万年前に惑星ミネルヴァ近傍で再実体化したジェヴレン人たちは、水面下で再起を図っている。彼らの存在は、シリーズ初期から断片的に語られてきた要素と結びつき、物語に緊張感を与える。過去に始まった計画が、今この瞬間にどう決着するのかが終盤の軸になる。
この小説のポイント
シリーズ最終巻として、科学的アイデアの面白さと、文明や知性に対する問いを同時に回収していく構成が最大の見どころ。単に謎を解くだけでなく、「なぜ人類は知ろうとするのか」というテーマが最後まで通っている。
たぶんこんな小説
スケールは最大級だけど、読後に残るのは意外と静かな余韻。シリーズを追ってきた人ほど、「ここに着地するのか」と感じる場面が多くて、長い旅を終えた感じがじわっと広がる。知的好奇心を思い出させてくれる空気が、最後まで続いていく一冊。

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