※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
造物主の選択
著者:ジェイムズ・P・ホーガン
機械人間が「自分たちは何者か」を考え始めてしまう話
土星の衛星タイタンで見つかったのは、意識を持ち、自己増殖する機械人間たち。見た目も暮らしも中世ヨーロッパそっくりな彼らは、人類との接触をきっかけに、自分たちの世界と歴史に疑問を持ち始める。誰が彼らを作ったのか。その存在は何を望んでいたのか。前作で提示された問いが、より大きな選択の問題として浮かび上がってくる。
ざっくり時系列
タイタンで機械人間の文明が発見される
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彼らが中世西欧風の社会を営んでいることが判明する
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人類との接触が進む
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機械人間側に変化と揺らぎが生まれる
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創造主の存在が大きな謎として浮上する
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ザンベンドルフが再び関わり、事態が動く
物語の主要人物
・ザンベンドルフ
インチキ心霊術師を名乗る男。人類と異文明の橋渡し役
・機械人間たち
意識と自己増殖能力を持つ異種属。中世的な社会を形成している
中世そっくりなのに、正体は機械
タイタンで見つかった異種属は、人間のように考え、社会を作り、文化を持っているが、その本質は機械だという点が決定的に違う。彼らの社会がなぜ中世西欧に似ているのか、その理由自体が大きな伏線として物語に置かれている。
接触がもたらした、取り返しのつかない変化
人類との交流によって、機械人間たちは外の世界を知る。知ることで世界は広がるが、同時に、これまで信じてきた価値観や秩序が揺らぎ始める。善意の接触が、必ずしも穏やかな結果だけを生まないところが物語の緊張感になっている。
創造主とは何者で、何を選んだのか
物語の核心は、「誰が彼らを作ったのか」だけでは終わらない。創造主がどんな意図で世界を設計し、どこまで介入し、どこから手を離したのか。その選択が、現在を生きる機械人間たちにどう影響しているのかが、終盤で強く浮かび上がってくる。
この小説のポイント
異星文明との接触ものとしての面白さに加えて、創造と責任、自由と管理といったテーマをかなり真正面から扱っている点が印象的。科学的設定を土台にしながら、倫理や哲学の話に自然につながっていく構成になっている。
たぶんこんな小説
派手な戦いや大事件よりも、「知ってしまったあと、どう生きるか」がじわじわ効いてくるタイプのSF。読み終わったあと、自分が作ったものや、与えられた環境について、少し考えたくなる余韻が残る空気感がある。

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