※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
レ・ミゼラブル
著者:ヴィクトル・ユーゴー
ひときれのパンから始まって、一生かけて赦しを問い続ける話
パンを盗んだ罪で19年も監獄に入れられたジャン・ヴァルジャン。その後の人生は、赦しを受けたことで大きく方向を変えていく。彼を追い続ける警察官、彼に救われる人々、時代のうねりに巻き込まれる若者たち。それぞれの人生が交差しながら、「人は変われるのか」「正しさとは何か」が何度も問い直されていく。
ざっくり時系列
ジャン・ヴァルジャンがパンを盗み逮捕される
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19年の監獄生活を終えて社会に戻る
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司教との出会いで生き方が変わる
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新しい名前と立場で人生をやり直す
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ファンティーヌやコゼットと関わる
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革命前後のパリで人々の運命が交差する
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追う者と逃げる者の関係に決着がつく
物語の主要人物
・ジャン・ヴァルジャン
パンを盗んだ罪で長く投獄され、その後の人生で赦しと善を選び続ける男
・ジャベール
法と秩序を絶対視し、ヴァルジャンを執拗に追う警察官
・ファンティーヌ
過酷な社会の中で追い詰められていく女性
・コゼット
幼少期に不遇な環境で育ち、ヴァルジャンに引き取られる少女
・マリウス
理想と現実の間で揺れる若者
たった一度の赦しが、人生を大きく曲げる
出獄したヴァルジャンは、元囚人というだけで行く先々で拒絶される。そんな彼を無条件で受け入れた司教との出会いが、彼の人生を決定的に変える。ここからヴァルジャンは、苦しみを知っているからこそ他人を助ける生き方を選び続けるようになる。
法を信じる男と、人を信じる男
ヴァルジャンの前に立ちはだかるのが警察官ジャベールだ。彼は法こそが正義だと信じ、例外を認めない。一方でヴァルジャンは、人は行いによって変われると信じて行動する。二人の価値観の衝突は、物語を通して何度も繰り返され、緊張感を生み続ける。
群像として描かれる、19世紀フランス
物語はヴァルジャン一人の人生にとどまらず、貧困、労働、革命、若者たちの理想など、当時のフランス社会全体へと広がっていく。登場人物それぞれが自分なりの正しさを抱え、その結果として交わり、すれ違い、別れていく。
この小説のポイント
個人の善意と社会の仕組みがぶつかる場面を、徹底的に描ききっているところが大きな特徴。一人の人生の物語でありながら、同時に時代そのものを丸ごと描いたスケール感がある。
たぶんこんな小説
重くて壮大で、でも人の感情にすごく近いところを歩いていく物語。読み進めるほどに登場人物の選択が気になってきて、「正しいって何だろう」と自然に考え始めてしまう。長い時間をかけて味わうほど、余韻が深く残る空気が続いていく。

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