※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
創世記機械
著者:ジェイムズ・P・ホーガン
神の力みたいな理論を作ってしまった男の話
若き天才科学者クリフォードは、統一場理論の研究から、物質・電磁気力・重力をまとめて説明できる理論にたどり着く。
その理論は、宇宙に満ちているエネルギーを自在に引き出せる可能性を秘めていて、ほぼ何でもできてしまう代物。
当然、軍はそれを兵器として使おうとするが、クリフォードは協力を拒否。
結果、彼は表舞台から追い出され、個人研究所で研究を続けることになる。
ここから話は、科学・権力・人類の未来が絡み合う、かなり大きなところへ転がっていく。
ざっくり時系列
クリフォードが政府機関で統一場理論を研究する
↓
物質と力を統合する画期的な理論を完成させる
↓
理論が究極兵器になり得ると軍部が判断する
↓
クリフォードは軍事利用を拒否する
↓
政府機関を辞職に追い込まれる
↓
私的研究機関で研究を続ける
↓
理論の本当の可能性と影響が明らかになっていく
物語の主要人物
- クリフォード
統一場理論を完成させた若き天才科学者。軍事利用を拒み、孤立する - 軍部関係者
理論を兵器として利用しようとする勢力 - 研究者たち
クリフォードの理論や研究に関わり、物語を動かす人物たち
宇宙の仕組みを丸ごと説明できてしまう理論
クリフォードの統一場理論は、単なる新説じゃなく、自然界の力を一つにまとめて説明できるもの。
しかも理論だけで終わらず、実用化できてしまうのが一番ヤバいところ。
エネルギー問題も、資源問題も、理論上は一気に解決できる。
だからこそ、軍にとっては喉から手が出るほど欲しい技術になる。
科学が兵器になる瞬間
軍部の発想はシンプルで、この理論を使えば究極兵器が作れるというもの。
でも、クリフォードにとって科学は、人類を便利にするためのものであって、壊すためのものじゃない。
この価値観のズレが、彼を組織から弾き出す。
ここから物語は、「科学者は自分の発明にどこまで責任を持てるのか」という問いを強く投げてくる。
人類の未来を左右する選択
理論の可能性は、兵器だけにとどまらない。
世界のエネルギー構造、経済、文明の形そのものを変えてしまう力を持っている。
クリフォードが何を選び、何を拒み、何を手放すのかで、人類の進む方向が変わっていく。
派手な戦闘よりも、決断と思想の重さが中心にある展開。
この小説のポイント
・理論SFど真ん中の構成
・科学と軍事の関係を真正面から描く
・一人の科学者の倫理観が物語を動かす
・世界設定が大きいわりに話はかなり理詰め
たぶんこんな小説
超技術が出てくるけど、読後感は意外と静か。
「もし本当にこんな理論が完成したら、人類はちゃんと扱えるのか?」という疑問だけが残る。
派手な未来像よりも、科学者の良心と人間社会の弱さがじわっと浮かび上がる、硬派で読みごたえのある一冊。

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