※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
デスペレーション
(Desperation)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:ホラー
砂漠の町で神と悪魔に挟まれた人々が、生き残りを賭ける話
ネバダの荒野にある廃鉱山町デスペレーション。そこに迷い込んだ旅人たちは、正気を失った副保安官に捕らえられ、町そのものが何かに支配されていると知る。町を覆うのは「タク」と呼ばれる邪悪な存在。そして彼らの前に立つのは、神と直接つながっている少年だった。逃げるか、立ち向かうか、その選択が生死を分けていく。
ざっくり時系列
荒涼としたハイウェイで人々が逮捕される
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鉱山町デスペレーションで監禁と殺害が始まる
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町を支配する存在タクの正体が明らかになる
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少年デイビッドが一行を導く存在になる
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タクが人や動物に憑依し、犠牲者が増える
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町を脱出するか、タクを封じるかの選択に迫られる
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自己犠牲の末、タクは再び封じられる
物語の主要人物
・デイビッド・カーバー
神と直接対話できる少年。物語の精神的中心
・メアリー・ジャクソン
詩人。夫を失いながらも生き延びる
・コリー・エントラジアン
元副保安官。タクに取り憑かれた存在
・ジョニー・マリンヴィル
年老いた作家。旅の途中で事件に巻き込まれる
・スティーブ・エイムズ
ジョニーの助手。外部から町に入る
・タク
人や動物に憑依する異次元の存在
逃げ場のない町で、理不尽な暴力が始まる
物語は、何気ない旅が突然終わるところから始まる。理由も説明もなく連行され、人が殺される。デスペレーションという町は、法律も秩序も意味を持たない場所になっていた。そこでは副保安官ですら、もはや人間とは言えない。
神に選ばれた少年が、集団を導く
絶望的な状況の中で、一行をまとめるのが少年デイビッドだ。彼は恐怖の中でも神の声を聞き、進むべき道を示す。その導きは常に安全とは限らず、ときに残酷な選択を伴う。それでも彼らは、その声を信じるしかなかった。
タクという存在と、封じるための代償
タクは一つの肉体に留まれず、衰弱すると次の宿主を探す。そのため、町では次々と異変と死が起こる。生き残るためには、タクを元の場所に閉じ込めなければならない。しかしその方法は、誰かの命を差し出すことと背中合わせだった。
この小説のポイント
・砂漠の閉鎖空間が生む逃げ場のなさ
・信仰と暴力が同時に描かれる構図
・少年の視点が物語に強い緊張感を与える
・姉妹作とのパラレルな世界観
たぶんこんな小説
読み進めるほど、救いがあるのか分からなくなる。でも同時に、人が何を信じて踏みとどまるのかがはっきり見えてくる。怖さは肉体的で、展開は容赦ない。それでも最後には、荒野を抜けていく風みたいな余韻が残る一冊。

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