回想のビュイック8ってどんな話?ざっくり時系列で整理

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。




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回想のビュイック8
(From a Buick 8)

作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:ホラー

正体不明の車を見守り続けた人たちが、答えのなさと向き合う話

ペンシルベニア州西部の州警察D部隊が保管してきた、走らないはずの古い車。ビュイック8は事件を解決もしなければ、世界を救いもしない。ただそこに在り続け、人の人生に静かに影を落とす。これは怪異を倒す物語ではなく、理解できないものと一緒に生きていく話だ。

ざっくり時系列

1953年型のビュイックがガソリンスタンドに放置される

D部隊が回収し、異常な車だと気づく

車庫で長年監視される中、不可解な現象が続く

隊員カーティスが事故死し、息子ネッドが隊に出入りする

ネッドがビュイックと父の死の関係を疑う

車を破壊しようとするが、異界の気配に直面する

破壊せず、見守り続ける選択がなされる

物語の主要人物

・サンディ・ディアボーン
D部隊の軍曹。主な語り手

・ネッド・ウィルコックス
亡くなった隊員の息子。物語後半の視点人物

・カーティス・ウィルコックス
D部隊の人気隊員。飲酒運転事故で死亡

・エニス・ラファティ
ビュイックの近くで姿を消した警官

・ブライアン・リッピー
脱獄囚。車の周囲で失踪する

走らない車が、すべての始まりになる

ビュイック8は見た目こそ車だが、内部はまるで別物だ。ハンドルは動かず、計器も飾りのようで、エンジンには可動部がない。それでも車は自己修復し、汚れを拒み、時折まばゆい光を放つ。D部隊は、それを危険物としてではなく、説明不能な存在として保管し続ける。

光震えと、異界からの落とし物

ビュイックは定期的に「光震え」と呼ばれる現象を起こす。その前後で温度は乱れ、見たことのない生物や植物が現れては死んでいく。生きて意思を持つ存在すら現れ、恐怖の中で始末される。車は異界への扉でありながら、何の目的も語らない。

父の死と車を結びつけようとする息子

父を亡くしたネッドは、ビュイックがすべての原因だと考えるようになる。偶然が重なり、感情が確信へと変わっていく。だがD部隊の人間たちは、車を憎むことも、理解することもできず、ただ危険を最小限に抑えてきた。

壊すより、見守るという選択

ビュイックを破壊すれば終わるのか。その問いに、誰も確かな答えを持っていない。破壊はより大きな害を招くかもしれない。最終的に彼らが選ぶのは、解決ではなく管理だ。意味のないものを、意味づけせずに見守るという判断だった。

この小説のポイント

・怪異の正体が最後まで明確にならない
・警察署という日常的な場所が舞台
・回想形式で静かに積み重なる時間
・喪失と無意味さが中心に置かれている

たぶんこんな小説

派手な恐怖やカタルシスはほとんどない。その代わり、説明できない出来事が人生に残す痕だけが、じわじわと残る。何かを倒したり、理解したりする話じゃない。不条理を抱えたまま、それでも時間は進むんだと静かに示してくる一冊。

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