※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
リーシーの物語
(Lisey’s Story)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:心理ホラー/ロマンス
亡き夫の記憶を辿る未亡人が、愛と狂気の奥へ踏み込んでいく話
有名作家スコット・ランドンを失った未亡人リーシーは、遺された書斎の整理を続けるうち、夫が隠していた現実と向き合うことになる。思い出は甘いだけじゃなく、恐ろしく、そして危険だった。愛していたからこそ見ないふりをしてきた過去が、彼女を試す。
ざっくり時系列
作家スコットの死から2年が経つ
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リーシーが書斎の整理を始める
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未発表原稿を狙う人々が現れる
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脅迫者ザックが接近する
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夫の過去と異界の存在が明らかになる
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リーシーがブーヤ・ムーンへ踏み込む
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愛と別れを受け入れる
物語の主要人物
・リーシー・ランドン
作家スコットの未亡人。物語の語り手
・スコット・ランドン
成功した小説家。リーシーの亡き夫
・アマンダ
リーシーの妹。精神的に不安定な状態にある
・ザック・マックール
原稿を狙い、リーシーを脅迫する男
整理できない書斎が、物語を動かす
物語は、片付けの進まない書斎から始まる。リーシーが避けてきたのは、本の山だけじゃない。そこには、夫と共有してきた言葉、合図、そして秘密が詰まっていた。整理は、自然と記憶の掘り起こしになっていく。
愛していたから、見えなかったもの
リーシーは、夫が狂気をはらんだ家系に生まれ、異界と行き来する能力を持っていたことを思い出す。その世界は「ブーヤ・ムーン」と呼ばれ、美しくも危険だった。スコットはリーシーを守るため、多くを語らずにいた。
異界は逃げ場であり、試練でもある
ブーヤ・ムーンは癒しを与える一方で、残酷な存在が潜む場所でもある。リーシーは妹を救うため、そして自分自身を守るために、その世界へ足を踏み入れる。そこでは、愛が武器になり、同時に弱点にもなる。
この小説のポイント
・夫婦の内側だけで通じる言葉と記憶
・恐怖とロマンスが同時に進む構成
・喪失を乗り越えるまでの長い過程
・創作と狂気の境界が曖昧になる感覚
たぶんこんな小説
派手な怖さより、静かに胸に刺さるタイプの物語。愛していた人を本当に知ることが、どれほど怖いかを突きつけてくる。それでも最後には、きちんと別れを告げるための物語だったんだと分かる一冊。

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