※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
シャイニング
(The Shining)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:ホラー/ゴシック/サイコホラー
家族を再生したかった父親が、ホテルと一緒に壊れていく話
売れない作家でアルコール依存症から立ち直ろうとしている父親ジャックが、雪山の巨大ホテルで冬を越す仕事に就く。静かな環境で原稿を書き、家族とやり直すはずだった。
でもそこは、人の弱さを吸い上げるようなホテルだった。
超能力「シャイニング」を持つ息子ダニーは、いち早く異変に気づく。父は少しずつ追い詰められ、ホテルの過去と悪意に絡め取られていく。
これは幽霊の話であり、家族が壊れていく過程そのものの話でもある。
ざっくり時系列
ジャックが冬季管理人の仕事を引き受ける
↓
家族でオーバールック・ホテルに移り住む
↓
ダニーが幽霊や幻影を見始める
↓
雪で外界と完全に遮断される
↓
ホテルがジャックを取り込み始める
↓
父が家族に牙を向く
↓
ダニーが救難信号を送る
↓
脱出とホテルの崩壊
物語の主要人物
・ジャック・トーランス
売れない作家。冬季管理人としてホテルに入る父親。
・ウェンディ・トーランス
ジャックの妻。家族を守ろうとする母親。
・ダニー・トーランス
幼い息子。「シャイニング」と呼ばれる超能力を持つ。
・ディック・ハロラン
ホテルの料理長。ダニーと同じ能力を持つ人物。
雪山ホテルで始まる、やり直しのはずの冬
コロラド州ロッキー山脈にあるオーバールック・ホテル。
冬は完全に閉鎖され、外界との行き来も絶たれる。その管理を任されたジャックは、ここなら酒から離れ、原稿を書き、家族と向き合えると考えていた。
ダニーはホテルに入った瞬間から、見てはいけないものを感じ取っている。けれど父の仕事を壊したくなくて、何も言わない。
静かな雪景色の裏で、ホテルは少しずつ牙を剥き始める。
見えてはいけない過去が、父親を飲み込んでいく
幽霊の気配、動き出すトピアリー、過去の惨劇の残像。
オーバールック・ホテルは、ダニーではなくジャックを選ぶ。
地下室のスクラップブック、空のはずのバーに並ぶ酒、語りかけてくる死者たち。
アルコール依存、怒り、後悔。ジャックの弱さは、ホテルにとって最高の入り口だった。
やがて彼は、家族を守る存在ではなく、ホテルの手先として振る舞い始める。
父と息子の最後の対峙、そしてホテルの終焉
暴走する父から逃げるウェンディとダニー。
助けを求めるダニーの声に応え、ハロランがホテルへ戻ってくる。
最上階で追い詰められたダニーに、ジャックは一瞬だけ正気を取り戻し、逃げろと告げる。
しかしホテルはそれすら許さない。
ボイラーの圧力、迫る爆発。
家族が脱出する中、オーバールック・ホテルは内部から崩壊し、すべてを飲み込んで終わる。
この小説のポイント
・幽霊よりも怖い「人の弱さ」が中心にある
・父親視点の転落が、段階的に描かれる構成
・超能力は派手な力ではなく、危険を察知する感覚として使われる
・ホテルという場所そのものが、一つの意思を持つ存在として描かれる
たぶんこんな小説
じわじわ重くなっていく空気の中で、逃げ場が消えていく感覚を味わう物語。
怖さは派手じゃないけど、気づいたら後戻りできないところまで連れていかれる。
読み終わったあと、雪の静けさと、家族という単語の重さがしばらく残る。

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