※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
宇宙に旅立つ時
(Time For The Stars)
作品データ
著者:ロバート・A・ハインライン
ジャンル:SF(ジュブナイルSF/宇宙探査)
双子のテレパシーが、時間そのものを引き裂く話
一卵性双生児のあいだにだけ起こる、不思議な通信。
それは光より速く届き、宇宙の果てからでも途切れない。
その能力を使い、片方は亜光速宇宙船へ、もう片方は地球へ残る。
同じ兄弟なのに、進む時間はまったく違う。
宇宙に出たトムと、地球で歳を重ねるパット。
この物語は、遠くへ行くことと、取り残されることの両方を描いていく。
ざっくり時系列
双子や三つ子に超光速テレパシー能力があると判明
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長期的展望財団が外宇宙探査計画を立ち上げる
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双子のトムとパットが訓練を受ける
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事故でパットが歩けなくなり、トムが宇宙船に乗る
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亜光速探査船団が出発
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時間の遅れが地球とのあいだで確認される
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いくつかの船が消息を絶つ
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移住可能惑星コンスタンスを発見
↓
別の惑星エリシアで未知の知的生物に襲われる
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地球側で超光速船が完成
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救助され、トムは地球へ帰還する
物語の主要人物
・トム・バートレット
双子の一方。亜光速宇宙船に乗り込む通信員
・パット・バートレット
トムの兄。地球に残り通信を担当する
・スウェンソン
探査船ルイス&クラークの船長
・アーカート
船長不在時に指揮をとる予備船長
宇宙へ行くのは、双子の片方だけ
一卵性双生児には、訓練次第で距離に関係なく意識を伝え合える能力がある。
その特性に目をつけた財団は、宇宙船と地球を結ぶ生きた通信装置として双子を使う計画を立てる。
当初はパットが宇宙へ行くはずだったが、事故で歩けなくなり、急きょトムが選ばれる。
光に近づくほど、地球は遠ざかる
トムが乗る探査船「ルイス&クラーク」は光速に近い速度で航行する。
その結果、船内では数年でも、地球では何十年も経っていく。
テレパシー通信によって、相対性理論の正しさが実感として示されていく。
一方で、消息を絶つ宇宙船や、原因不明の死も増えていく。
希望の惑星と、取り返しのつかない犠牲
移住可能な惑星コンスタンス、続いて理想的な水の惑星エリシアが見つかる。
だがエリシアでは、未知の知的生物による襲撃が起こり、多くの命が失われる。
帰還か、続行か。
迷う船団のもとに届いたのは、地球がついに超光速航行を実現したという知らせだった。
この小説のポイント
・テレパシーを通信手段に使う大胆な発想
・相対性理論を物語の軸に据えた構成
・宇宙探査の成功と犠牲が同時に描かれる
・離れて生きる兄弟の時間差が物語を動かす
たぶんこんな小説
遠くへ行くことは、必ず誰かを先に老いさせること。
宇宙のスケールで描かれているのに、話の芯はとても個人的。
科学の進歩と、人の気持ちがずっと並走している一冊。

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