※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
天翔る少女
(Podkayne Of Mars)
作品データ
著者:ロバート・A・ハインライン
ジャンル:SF(ジュブナイルSF/スペースオペラ)
火星育ちの少女が、宇宙で大人になる話
火星で育った15歳の少女ポッケインは、弟クラークと一緒に宇宙船で地球を目指す。
最初は観光気分の豪華客船の旅だったはずが、密輸、誘拐、政治闘争、そして爆弾へと事態は転がっていく。
日記調で語られるこの物語は、明るく軽い語り口のまま、取り返しのつかない選択と結果にたどり着く。
これは、少女の目線で描かれた、少し早すぎる成長の記録だ。
ざっくり時系列
火星で暮らすポッケインと弟クラーク
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両親の都合で地球旅行が中止になる
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叔父トムの計らいで宇宙船に乗る
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税関での騒動と密輸品の存在が明らかになる
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クラークが小包の中身が核爆弾だと知る
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船内でガーディと出会う
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金星で企業国家の異常な社会を目にする
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クラークが誘拐される
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ポッケインも単独行動で捕らえられる
↓
脱出の過程で爆弾が作動する
物語の主要人物
・ポッケイン・フリーズ
火星育ちの15歳の少女。本作の語り手
・クラーク・フリーズ
ポッケインの弟。冷笑的で非常に頭が切れる
・トム・フリーズ
火星政府の長老である大叔父
・ガーディ
船内で出会う有能で経験豊富な女性
火星から地球へ、観光のはずだった旅
物語は、火星で暮らす少女ポッケインの日記として始まる。
家族旅行が中止になり落ち込む彼女を見かねて、叔父トムは二人を宇宙船で地球へ連れていく。
ポッケインにとっては初めての長距離宇宙旅行で、すべてが新鮮で少し背伸びした気分だった。
密輸と金星、そして政治の匂い
搭乗時の税関騒動をきっかけに、クラークが危険な荷物を隠していたことが明らかになる。
旅の途中で立ち寄った金星は、巨大企業に支配された極端な資本主義社会だった。
VIP待遇を受けるうちに、ポッケインは叔父トムが単なる親戚ではないことに気づき始める。
誘拐、爆弾、そして取り返しのつかない選択
クラークは政治的な理由で誘拐され、ポッケインも無謀な行動の末に捕らえられる。
脱出を試みたクラークは誘拐犯を倒すが、仕掛けていた核爆弾の処理を誤る。
その結果、ポッケインは爆発に巻き込まれ、物語は悲劇的な結末へと進む。
この小説のポイント
・少女の日記形式で進む一人称構成
・明るい語り口と重い出来事のギャップ
・政治、資本主義、暴力が自然に混ざる世界観
・結末をめぐる改変と議論の多さ
たぶんこんな小説
最初は軽い宇宙旅行記みたいに始まるのに、気づくと重たい現実が残る。
無邪気さと冷酷さが同じページに並んでいる感触。
ジュブナイルだけど、かなり容赦のない一冊。

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