※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
マンハッタンの奇譚クラブ
(The Breathing Method)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:中編小説/怪奇譚
奇妙な紳士クラブで語られた、忘れられない出産の話
マンハッタンの不思議な紳士クラブで、老医師が語り始めた一つの体験談。時代は1930年代、相手は強い意志を持つ一人の女性。話は静かに進むのに、最後まで聞くと、どうしても頭から離れなくなる。
ざっくり時系列
語り手デイヴィッドが紳士クラブに入会する
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クラブで奇妙な体験談が語られる
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老医師マッカーロンが過去の出来事を語り始める
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未婚の妊婦サンドラと出会う
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独自の呼吸法を教える
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吹雪の夜、事故が起きる
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想像を超えた出産が行われる
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物語は静かな余韻を残して終わる
物語の主要人物
・デイヴィッド
マンハッタンの弁護士。物語の聞き手
・エムリン・マッカーロン
老医師。クラブで体験談を語る
・サンドラ・スタンスフィールド
未婚の妊婦。強い意志を持つ女性
本好きが集まるクラブで語られる奇譚
語り手のデイヴィッドは、マンハッタンで働く中年弁護士。ある日、年長の同僚に誘われ、風変わりな紳士クラブに入会する。そこは読書やビリヤードを楽しむ場所であると同時に、会員たちが奇妙で不気味な物語を語り合う場所だった。クリスマス前の夜、老医師マッカーロンが口を開き、自身の若い頃の体験を語り始める。
強い意志を持つ女性との出会い
医師が出会ったのは、未婚のまま子どもを産むと決めたサンドラ・スタンスフィールド。経済的にも社会的にも厳しい立場にありながら、彼女は一歩も引かない。マッカーロンは彼女の勇気とユーモアに心を打たれ、出産を助けるため、当時としては珍しい呼吸法を考案して教える。
冬の夜に起きた、ありえない出来事
凍えるような夜、陣痛が始まったサンドラは病院へ向かう途中で事故に遭う。到着したマッカーロンが目にしたのは、常識では受け止めきれない光景だった。それでも彼は医師としての役目を果たし、呼吸法を頼りに出産を成し遂げる。すべてが終わったあと、サンドラはかすかな声で感謝を伝える。
この小説のポイント
・怪談の形を借りた「語り」の構造
・恐怖と尊厳が同時に存在する不思議な感触
・人の意志が極限状況で見せる強さ
・短いながらも強烈に残るラスト
たぶんこんな小説
派手な展開があるわけじゃないのに、静かに、確実に心に引っかかる。怖い話を聞いたはずなのに、最後に残るのは嫌悪よりも、妙な温度の余韻。冬の夜に誰かが語った話を、いつまでも覚えてしまう、そんな感覚の一編。

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