※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
キャリー
(Carrie)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:ホラー/サイコホラー/学園
ずっと耐えてきた少女が、たった一夜で世界を壊してしまう話
友達も居場所もなく、狂信的な母親に支配されて育った高校生キャリー。
彼女は心の奥に、触れただけで物を動かす力を抱えていた。
学校では嘲笑され、家では罰を与えられ、それでも耐え続けていた日々。
でも、プロムの夜に仕掛けられた残酷ないたずらが、その均衡を完全に壊す。
これは復讐の物語というより、追い詰められた少女が限界を越えてしまう瞬間を描いた話。
ざっくり時系列
学校で日常的ないじめを受ける
↓
シャワー室で初潮を迎え、集団で嘲笑される
↓
母親に罰として閉じ込められる
↓
プロムに招待される
↓
念動力を密かに制御し始める
↓
プロムクイーンに選ばれる
↓
血のいたずらが仕掛けられる
↓
学校と町が破壊される
↓
森の中で最期を迎える
物語の主要人物
・キャリー・ホワイト
いじめを受け続ける高校生。テレキネシスの力を持つ。
・マーガレット・ホワイト
キャリーの母親。狂信的な宗教観で娘を支配する。
・スー・スネル
キャリーを嘲笑した過去を悔い、償おうとする少女。
・クリス・ハーゲンセン
いじめの中心人物。プロムでの計画を主導する。
・トミー・ロス
スーの恋人。キャリーをプロムに招待する。
・リタ・デジャルダン
体育教師。キャリーを守ろうとする大人の一人。
学校でも家でも、逃げ場のない日常
メイン州チェンバレン。
キャリーは体型や服装、母親から刷り込まれた歪んだ価値観のせいで、学校では嘲笑の的になっていた。
体育の授業後、シャワー室で迎えた初潮。
何も知らされていなかったキャリーは、自分が死ぬのだと思い込み、泣き叫ぶ。
その姿に浴びせられる笑いと、生理用品。
家に帰っても、待っているのは理解ではなく、罪としての罰だった。
償いと悪意が交差する、プロムへの道
教師の介入で罰を受けた生徒たち。
スーは自分の行いを悔い、恋人トミーにキャリーをプロムへ招待させる。
一方で、罰を拒否したクリスは、屈辱を晴らすために復讐を決意する。
キャリーは疑いながらも招待を受け入れ、念動力の制御を独学で身につけていく。
母親はそれを罪と恐れ、プロムを止めようとするが、キャリーは初めて母に逆らう。
王冠の瞬間、すべてが崩れ落ちる
プロムの夜。
キャリーは初めて人々に受け入れられ、笑顔を向けられる。
そしてプロムクイーンに選ばれる。
戴冠式の瞬間、頭上から降り注ぐ豚の血。
笑い声と混乱の中で、キャリーの中で何かが切れる。
体育館は封鎖され、火と電気が暴走し、学校そのものが破壊される。
生き残った者は、ほんのわずかだった。
この小説のポイント
・超能力は原因ではなく、引き金として描かれている
・学校と家庭、二重の孤立が丁寧に積み重ねられる
・善意と悪意が同時に存在し、結果だけが最悪に転ぶ構造
・事件後の記録や証言で世界が揺れていく描写
たぶんこんな小説
静かに積もった感情が、一気に崩れ落ちる瞬間を見届ける物語。
怖いのは力そのものより、誰にも助けられなかった時間の長さ。
読み終わると、もし違う言葉が一つでもあったら、と考えてしまう余韻が残る。

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