※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
フェアリー・テイル
著者:スティーヴン・キング
少年が老人と犬に出会い、異世界まで命を救いに行く話
町で〈サイコハウス〉と呼ばれる屋敷に住む偏屈な老人と、その犬レイダー。偶然の出会いから始まった世話焼きの日々は、やがて屋敷の裏に隠された“異世界への入口”へとつながっていく。黄金の粒、奇妙な音、老人の秘密。すべての謎の先にあったのは、二つの月が輝く王国エンピスだった。主人公の目的はただ一つ。大切な友である老犬レイダーを救うこと。そのために少年は、恐ろしくも美しい異世界を進み、王都リリマーへ向かう長い旅に出る。
ざっくり時系列
町で〈サイコハウス〉と呼ばれる屋敷の噂を知る
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屋敷の主・ボウディッチが怪我をしているのを発見する
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老人と犬レイダーの世話をするようになる
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屋敷の裏から聞こえる奇妙な音に気づく
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老人が黄金の粒を大量に持っていることを知る
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屋敷の秘密と異世界への階段の存在が明らかになる
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犬レイダーの命を救うため、異世界エンピスへ向かう
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王都リリマーと日時計の存在を知る
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簒奪者〈飛翔殺手〉に支配された王都へ踏み込む
物語の主要人物
・ぼく
物語の語り手。町に住む少年で、思いやりと行動力を持つ。
・ミスター・ボウディッチ
〈サイコハウス〉に住む偏屈な老人。異世界と深く関わる秘密を抱えている。
・レイダー
ボウディッチと共に暮らす老犬。物語の旅の目的そのものとなる存在。
不気味な屋敷からすべては始まる
町の誰もが近寄らない屋敷、門を越えれば猛犬が襲うという噂。だが実際にそこにいたのは、怪我をして助けを必要としている老人だった。世話をするうちに、少年は屋敷の空気が噂とは違うことに気づいていく。恐怖の正体は、人ではなく“知らないこと”だったのだ。
黄金の粒と異世界への階段
屋敷の裏から聞こえる音、説明のつかない老人の財力、金庫に眠る大量の黄金。謎を追ううちに、少年は長い階段の先にある異世界エンピスの存在を知る。そこは罌粟の花が咲き、夜には双子の月が空を照らすこの世ならぬ王国だった。
犬を救うため、王都リリマーへ
異世界には、時間を逆行させる力を持つ巨大な日時計がある。その力でレイダーを救えるかもしれない。だが王都リリマーは〈飛翔殺手〉に奪われ、夜影兵が巡回し、北方の巨人が徘徊する危険な場所となっていた。それでも少年は進む。理由はただ一つ、友を救うためだ。
この小説のポイント
日常から異世界へ滑り込む構成
少年と老人、そして犬という関係性
恐怖よりも「優しさ」が物語を動かす点
キング流の想像力で描かれる王道ファンタジー
たぶんこんな小説
怖さも不思議もたっぷりあるけれど、芯にあるのはとてもまっすぐな物語。大切な存在のために一歩を踏み出す話で、読んでいると自然と旅に付き合っている気分になる。長い階段を下りていくように、少しずつ世界が開けていく感覚が心地いい一冊。

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