※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
呪われた町
(’Salem’s Lot)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:ホラー/ゴシック/吸血鬼小説
故郷に戻った作家が、町ごと吸血鬼に食われていくのを目撃する話
幼い頃に住んでいた町へ戻った作家ベン・ミアーズ。
懐かしいはずの故郷は、静かに、確実に、何かに侵食され始めていた。
失踪する子ども、夜に現れる死者、閉ざされていく家々。
原因は一軒の古い屋敷と、そこに住み着いた“主”。
これは一人の英雄が世界を救う話ではなく、小さな町が丸ごと沈んでいく過程を描いた物語。
ざっくり時系列
ベンが25年ぶりに故郷の町へ戻る
↓
古い屋敷と新しく来た男たちの存在が浮かび上がる
↓
少年の失踪と不可解な死が起こる
↓
町の住民が次々と吸血鬼になる
↓
少数の人間が真実に気づき、対抗を始める
↓
仲間が次々と失われていく
↓
吸血鬼の主を倒す
↓
町を取り戻せないまま逃亡する
↓
一年後、町を滅ぼす決断を下す
物語の主要人物
・ベン・ミアーズ
作家。幼少期を過ごした町に戻ってくる主人公。
・スーザン・ノートン
町に住む女性。ベンの恋人となる。
・マット・バーク
高校教師。最初に異変を信じた協力者。
・マーク・ペトリー
吸血鬼に抵抗する少年。物語後半の重要人物。
・カート・バーロウ
町に忍び寄る吸血鬼の支配者。
・リチャード・ストレーカー
バーロウの使い魔として動く男。
・キャラハン神父
町の司祭。信仰と恐怖の間で揺れる人物。
懐かしいはずの町に、静かに異変が広がる
作家のベンは、新作執筆のために故郷セーラムズ・ロットへ戻る。
町は一見すると変わらないが、人々の視線や夜の気配がどこかおかしい。
そんな中、長く放置されていたマーステン・ハウスに新しい住人が入る。
同じ頃、少年の失踪と死が起こり始める。
偶然にしては出来すぎている出来事が、少しずつ線でつながっていく。
夜になると、町は別の顔を見せ始める
死んだはずの人間が窓の外に立つ。
助けを求める声に応じると、もう戻れない。
吸血鬼は一人ずつ、確実に仲間を増やしていく。
ベンたちは真実に気づくが、信じてもらえる相手はほとんどいない。
信仰も理性も、夜の恐怖の前では簡単に揺らいでいく。
主を倒しても、町は救われない
犠牲を払いながら、ベンとマークは吸血鬼の主バーロウを倒す。
けれど、それで終わりにはならなかった。
すでに町の大半は吸血鬼に変わり、人間が戻る場所は残っていない。
二人は町を離れ、逃げるように生き延びる。
一年後、彼らは戻ってくる。
救うためではなく、完全に終わらせるために。
この小説のポイント
・吸血鬼という存在を「町の病」として描いている
・少人数の抵抗が、圧倒的な数に押し潰されていく構造
・信仰が通じるかどうかが、人間側の弱さとして描かれる
・町そのものが一つの生き物のように扱われている
たぶんこんな小説
派手な戦いより、静かに逃げ場が消えていく怖さが残る物語。
読み進めるほど、「助からないかもしれない」という感覚が強くなる。
小さな町がゆっくり死んでいく様子を、最後まで見届ける一冊。

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