※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ミラー・メイズ
著者:ジェイムズ・P・ホーガン
自由を本気でやった結果、世界が一気にきな臭くなる話
西暦2000年のアメリカで、大統領選を制したのは既成政党ではなく、護憲党と呼ばれる新興政党だった。政府の干渉を極力なくし、徹底した自由を掲げる新政権。その方針は理想的にも見えるが、同時に「自由が困る人たち」を一斉に刺激してしまう。そこから、水面下で巨大な陰謀が動き始める。
ざっくり時系列
2000年のアメリカで大統領選が行われる
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護憲党が既成政党を破って政権を握る
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政府干渉を排する急進的な政策が打ち出される
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既得権益層が強い反発を示す
↓
巨大資本家たちが水面下で動き始める
↓
国外勢力を巻き込んだ諜略戦が展開される
物語の主要人物
・新大統領
護憲党を率い、徹底した自由主義を掲げる人物
・巨大資本家たち
政府の保護によって利益を得てきた反対勢力
・国外勢力
陰謀に加担し、裏から状況を動かす存在
「政府が何もしない」という選択
護憲党の掲げる理念は、国家が余計なことをしないという一点に集約されている。規制を外し、干渉をやめ、個人の自由に委ねる。その姿勢は理屈としては筋が通っているが、実際の社会では急激すぎる変化として受け止められていく。
自由を嫌う人たちが、裏で結束する
新政権に最も強く反発したのは、意外にも「強い政府」に守られてきた巨大資本家たちだった。彼らは表立って反対するのではなく、国外勢力と手を結び、諜略や情報操作を使って状況をひっくり返そうとする。ここから物語は、政治とスパイ活動が絡み合う展開へと進んでいく。
二項対立が壊れたあとの世界
この物語では、右翼か左翼かといった従来の構図がほとんど意味をなさない。誰が自由を求め、誰が秩序を必要としているのか。その境界線が曖昧になる中で、世界支配を狙う計画が少しずつ輪郭を持ち始める。
この小説のポイント
近未来SFでありながら、かなり生々しい政治の力学を描いているところが特徴。理念としての自由と、現実の利害関係がぶつかったとき、何が起こるのかをストーリーとして見せてくる。
たぶんこんな小説
派手なアクションよりも、会話や駆け引きがじわじわ効いてくるタイプの一冊。読んでいるうちに、「自由ってこんなに扱いが難しいものだったっけ?」と考え始めてしまう。静かな緊張感がずっと続く空気をまとっている。

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