量子宇宙干渉機ってどんな話?ざっくり時系列で整理

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量子宇宙干渉機
著者:ジェイムズ・P・ホーガン

無数の並行世界を操作して、戦争を回避しようとする話

全面戦争の気配が濃くなる21世紀、若き物理学者ヒュー・ブレナーたちは量子コンピュータの完成に辿り着く。世界は一つではなく、無数の並行世界が干渉し合って現実が決まっている。ならば、その干渉を人為的に制御すれば、最悪の未来を避けられるのではないか。国防総省の極秘プロジェクトに組み込まれた研究は、希望と危うさを同時に孕みながら、現実そのものを書き換える段階へ進んでいく。

ざっくり時系列

21世紀、世界が全面戦争の危機に近づく

ヒュー・ブレナーらが量子コンピュータの開発に成功する

多元宇宙が相互に干渉しているという理論が実用段階に入る

国防総省が極秘プロジェクトとして研究を管理する

別世界への干渉・操作が可能になる

世界を救う選択と、新たな支配の可能性が同時に浮上する

物語の主要人物

・ヒュー・ブレナー
 若き物理学者。量子宇宙干渉理論の中心人物

・研究チームの科学者たち
 量子コンピュータ開発に関わる協力者

・国防総省関係者
 研究成果を軍事的に利用しようとする立場

世界は一つじゃない、という前提から始まる

この物語では、多元宇宙は仮説ではなく前提条件だ。選択のたびに世界が分岐し、それらが互いに影響を与えている。その結果として、今の現実がある。ヒューたちは、その「影響の割合」を操作できる装置を手に入れてしまう。

世界を救う装置は、同時に世界を支配する装置でもある

干渉を少し変えるだけで、戦争が起きない世界線を強めることができる。理屈は完璧だ。でも、それを誰が、どんな基準で使うのかという問題がすぐに浮上する。政府管理の下で進む研究は、善意と権力が切り離せない形で絡み合っていく。

自由な世界は、選ばされた世界かもしれない

別の世界を選べるようになったとき、人は本当に自由なのか。それとも、誰かが決めた「最善の現実」に押し込められているだけなのか。ヒューたちは、科学的成功と引き換えに、現実そのものの意味を問い直す立場に追い込まれていく。

この小説のポイント

・多元宇宙理論を徹底的に現実運用へ落とし込んだ設定
・科学的合理性と政治的利用の衝突
・世界を救う行為が、新たな危機を生む構図
・ハードSFらしい論理の積み重ね

たぶんこんな小説

設定はガチガチに理論的なのに、読後に残るのは人間くさい不安。正しい未来を選べるようになった世界は、本当に幸せなのか。そんな問いを、量子力学という分厚い土台の上から静かに投げてくる。頭も使うし、後からじわっと効いてくる一冊。

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