ビリー・サマーズってどんな話?ざっくり時系列で整理

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Amazon.co.jp : ビリー・サマーズ




ビリー・サマーズ

著者:スティーヴン・キング

狙いを外さない殺し屋が「最後の仕事」で小説を書き始める話

凄腕の殺し屋ビリー・サマーズは、標的が悪人である仕事しか請けないという独自のルールを持つ男。引退を決めた彼は、裁判所へ移送される囚人を狙撃するという厄介な依頼を受ける。潜伏のために用意した偽の肩書きは「小説家」。街に溶け込み、執筆を装ううち、ビリーは本当に自分の人生を書き始めてしまう。
仕事は成功したはずだったが、事態は思わぬ方向へ転がり、彼は追われる立場になる。さらに、偶然助けた若い女性アリスとの生活が始まり、ビリーは「殺すこと」と「生きること」、そして「物語を書くこと」を同時に抱え込むことになる。

ざっくり時系列

殺し屋として活動しつつ引退を決意する

最後の仕事として囚人狙撃の依頼を受ける

潜伏用の身分として「小説家」を名乗り街に住む

執筆を装ううちに自分の過去を書き始める

仕事に違和感を覚え、別の身分も用意して備える

狙撃を実行する

依頼人と司法の両方から追われる立場になる

潜伏先でアリスという女性を助ける

事件の裏にある目的と黒幕を探り始める

復讐と決着、そしてビリー自身の物語が終点へ向かう

物語の主要人物

・ビリー・サマーズ
 凄腕の殺し屋。悪人のみを標的にし、引退を決めている。

・アリス
 ビリーが潜伏中に助けることになる若い女性。

・依頼人たち
 ビリーに最後の仕事を持ちかけた謎の存在。

銃とキーボードを抱えた潜伏生活の始まり

物語は、ビリーが狙撃ポイントとなる街に入り込み、静かに生活を始めるところから動き出す。偽の肩書きは売れない小説家。近所づきあいをし、事務所に通い、毎日パソコンの前に座る。
最初は完全な偽装だったはずなのに、ビリーは次第に自分の過去を書き始める。戦争での経験、殺し屋になった理由、これまでの人生。銃を扱う手でキーボードを叩く時間が、彼の中で妙にリアルなものになっていく。この「書く」という行為が、後の選択に大きく影響していく。

仕事の違和感と転がり込んできた同居人

狙撃計画が進むにつれ、ビリーは依頼そのものに小さなズレを感じ始める。説明が足りない。安全策として、彼は依頼人にも知られない別の身分を用意し、二重三重の備えを整える。
そして実行後、事態は一気に崩れる。ビリーは逃亡を余儀なくされ、潜伏先には偶然アリスが転がり込んでくる。彼女を追い出せないまま始まる奇妙な共同生活。守るべき存在ができたことで、ビリーの行動原理は確実に変わっていく。

真相への接近と、書かれ続ける人生

依頼人の狙い、事件の本当の目的、背後で糸を引く存在。ビリーは一つずつ真相に近づいていく。その一方で、彼の小説も終わりへ向かって書き進められていく。
復讐と決着の場面では、殺し屋としての顔と、一人の人間としての選択が重なり合う。物語は加速し、ビリーがどんな結末を選ぶのかが静かに示されていく。

この小説のポイント

・殺し屋という題材と「書くこと」を結びつけた構造
・主人公が自分の人生を物語として整理していく流れ
・クライム小説でありながら、感情の重心は人間ドラマにある
・上巻と下巻で役割がはっきり分かれた構成

たぶんこんな小説

ハードな犯罪の話なのに、読後に残るのは不思議と静かな余韻。派手さよりも、積み重ねた時間や言葉が効いてくるタイプの物語。
銃声と同じくらい、文章を書く音が印象に残る。そんな感触の一冊。

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