※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
戦争と平和
(Война и мир)
著者:レフ・トルストイ
貴族たちの恋と人生が、戦争の激流にまるごと飲み込まれる話
社交界のきらびやかな夜会から始まって、恋、結婚、出世、借金、友情、裏切り、そして戦争。
ピエール、アンドレイ、ナターシャを中心に、いくつもの家の人生が絡み合いながら、ナポレオン戦争の時代を突っ切っていく。
物語だけでなく、歴史や人生観についての“著者の語り”も混ざってて、世界そのものを丸ごと描こうとしてくるタイプの大作。
ざっくり時系列
ペテルブルクの夜会で主要人物が出そろう
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アンドレイが戦争へ向かう
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ロストフ家の日常と恋模様が動き出す
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戦場で初陣や敗北が描かれる
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ピエールが遺産を得て結婚し、混乱する
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アンドレイが負傷と喪失を経験する
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ナターシャが社交界へ入り、婚約が進む
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婚約が崩れ、ナターシャが倒れる
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1812年、フランス軍がロシアへ侵攻
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ボロジノの戦いとモスクワの混乱
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捕虜となったピエールが価値観を揺さぶられる
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戦争が終わり、再会と結婚へつながる
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後日談で次世代へ話が渡っていく
物語の主要人物
・ピエール・ベズーホフ
巨額の遺産を継ぐが、人生の意味を探し続ける中心人物
・アンドレイ・ボルコンスキー
社交界に疲れ、戦場へ向かう公爵。理想と幻滅を抱える
・ナターシャ・ロストヴァ
ロストフ家の娘。感情の揺れが大きく、物語の核になる存在
・ニコライ・ロストフ
ロストフ家の長男。戦場と家計の現実に向き合う
・マリア・ボルコンスカヤ
アンドレイの妹。家族と信仰の中で生きる
華やかな始まり、でも裏で全部がぐらついてる
1805年、ペテルブルクの夜会で人間関係が一気に動く。
ピエールは居場所がなく、でも「大金持ちの跡取り候補」扱いで周囲の目が急に変わる。
アンドレイは結婚生活にも社交界にも冷めていて、戦争に飛び込むことで何かを変えようとする。
同じ頃、モスクワ側ではロストフ家の家庭の熱量と、若い恋がぐるぐる回り始める。
戦争は、理想とか名誉を一回粉砕してくる
前半は戦場の経験がガツンと入ってくる。
ニコライは初陣で現実を叩き込まれ、アンドレイは大きな敗北の中で価値観が崩れる。
ここでの戦争は「かっこいい舞台」じゃなくて、栄光とか英雄願望を容赦なく空っぽにしていく感じ。
一方で、家では借金や縁談や噂話が積み上がって、別の意味で息苦しくなっていく。
恋と人生が絡まって、取り返しがつかなくなる
ピエールは遺産で立場が変わり、結婚もするが、気持ちは全然落ち着かない。
ナターシャはアンドレイと婚約するが、待たされる時間の中で心が揺れて、致命的な方向へ転ぶ。
このへんは“恋愛の事件”というより、若さと不安と誘惑が一気に噴き出す感じで、読んでる側も落ち着かない。
1812年、国ごと全部が炎上モードに入る
フランス軍が迫り、ボロジノの戦い、そしてモスクワの混乱へ。
ピエールは戦争を見物する側から巻き込まれる側に落ちていき、ついには捕虜になる。
そこで出会う人間関係が、彼の中の「生き方の基準」を作り直していく。
ナターシャもまた、戦争の現実の中で別の形に変わっていく。
この小説のポイント
・登場人物の数と人生の分岐が、戦争の規模と同じくらいデカい
・恋愛、家族、金、名誉、信仰が全部つながって崩れたり立ったりする
・物語の合間に、歴史や人間についてのトルストイの考えが割り込んでくる
・英雄の話というより、時代の流れに人がどう巻き込まれるかの話
たぶんこんな小説
めちゃくちゃ長いのに、不思議と「人生ってこういう濁流だよな」って感覚が残る。
誰か一人の物語というより、人の数だけ人生があって、それが戦争で一気に交差する感じ。
読み終わったあと、登場人物の顔より、時代の空気が頭に残るタイプの大作。

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