※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
奇跡を信じて
(A Walk to Remember)
著者:ニコラス・スパークス
反対側にいた二人が、同じ道を歩くようになる話
小さな町で目立たずに生きていた少女ジェイミーと、そこそこ人気者だった少年ランドン。
最初はただの都合から始まった関係が、少しずつ形を変え、気づけば人生の芯に触れるものになっていく。
これは派手な恋の話というより、誰かと向き合うことで人が変わっていく過程を静かに追いかける物語。
ざっくり時系列
ランドンが学級委員長になる
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ダンスパーティーの相手としてジェイミーを誘う
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舞台劇「クリスマス・エンジェル」に参加する
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一緒に過ごす時間が増えていく
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孤児院や町の人々と関わる
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ランドンがジェイミーを意識し始める
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ジェイミーの秘密が明かされる
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周囲の大人や友人たちの態度が変わる
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二人は結婚する
↓
物語は大人になったランドンの現在へ戻る
物語の主要人物
・ランドン・カーター
語り手。高校3年生の少年で、物語を通して大きく変わっていく
・ジェイミー・サリバン
牧師の娘。信仰心が強く、周囲から浮いた存在
・ヘグバート・サリバン
ジェイミーの父。町の教会の牧師
・カーター氏
ランドンの父。下院議員で家を空けがち
・エリック・ハンター
ランドンの親友。軽口が多いが重要な存在
きっかけは、気まずいデートの約束
物語は、ランドンが学校行事の都合でデート相手を探すところから動き出す。
そこで選ばれたのが、クラスでも少し浮いた存在のジェイミーだった。
信心深く、地味で、噂話の中心にもならない彼女と一緒にいることを、ランドンはどこか恥ずかしく感じている。
この時点では、二人の距離はかなり遠い。
一緒に過ごす時間が、見え方を変えていく
舞台劇への参加をきっかけに、二人は放課後や帰り道を共にするようになる。
ランドンは、ジェイミーが町の人々や孤児たちのために動いていることを知る。
最初は戸惑いばかりだったが、彼女といる時間そのものが、だんだん心地よくなっていく。
気づいたときには、ランドンの中で価値観が静かに組み替えられていた。
知ってしまった現実と、選び直す気持ち
ランドンが想いを伝えたとき、ジェイミーはそれを否定する。
そして、自分が重い病を抱えていることを打ち明ける。
そこから物語は、恋の行方だけでなく、家族や町の人々を巻き込みながら進んでいく。
父との関係が変わり、友人たちの態度も変わり、世界の輪郭が少しずつ違って見え始める。
この小説のポイント
・十代の視点から描かれる心の変化
・宗教や町の空気が物語に自然に溶け込んでいる
・恋愛と同時に、親子関係や成長も描かれている
・現在と過去を行き来する構成
たぶんこんな小説
静かで、感情を煽りすぎないのに、後からじわっと残る。
派手な出来事より、選択の積み重ねが印象に残る。
読み終わる頃には、歩いてきた道そのものを振り返りたくなる、そんな一冊。

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