※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
アンナ・カレーニナ
(Анна Каренина)
著者:レフ・トルストイ
恋に落ちた瞬間から、社交界も家族も人生も全部ほどけていく話
上流社会の既婚女性アンナは、騎兵将校ヴロンスキーと出会い、強烈に惹かれて不倫関係へ踏み込む。噂は広がり、家庭は崩れ、逃亡しても解決しない。一方で田舎の地主レヴィンは、キティとの結婚や家族の中で、信仰や生き方の意味に向き合っていく。恋と社会、都会と田舎が交差しながら、人生がどんどん複雑に絡み合っていく。
ざっくり時系列
スティヴァの不貞でオブロンスキー家が崩れかける
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妹アンナが仲裁のためモスクワへ来る
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駅でアンナとヴロンスキーが出会い、鉄道員が事故死する
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アンナがドリーを説得し、夫婦は一度持ち直す
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レヴィンがキティに求婚するが断られる
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舞踏会でヴロンスキーがアンナを選び、キティは傷つく
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アンナとヴロンスキーが近づき、不倫関係になる
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競馬の事故でアンナが動揺し、夫カレーニンに告白する
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アンナが出産で危機に陥り、カレーニンがヴロンスキーを許す
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アンナとヴロンスキーがイタリアへ逃亡する
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レヴィンとキティが和解し婚約、結婚する
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帰国後、ヴロンスキーは自由だがアンナは社交界から締め出される
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アンナの不安と嫉妬が強まり、夫は離婚に応じない
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モスクワで関係が決定的に悪化し、アンナは列車に身を投げる
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ヴロンスキーは義勇兵として戦地へ向かう
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レヴィンは苦悩の末、信仰と生の意味へ戻っていく
物語の主要人物
・アンナ・アルカディエヴナ・カレーニナ
カレーニンの妻で、ヴロンスキーとの関係で社会的に追い詰められていく
・アレクセイ・キリロヴィチ・ヴロンスキー伯爵
騎兵将校で、アンナと恋に落ちる
・アレクセイ・アレクサンドロヴィチ・カレーニン
政府高官でアンナの夫、世間体と秩序を重視する
・ステパン(スティヴァ)・アルカディエヴィチ・オブロンスキー
アンナの兄で、不貞から物語の導火線を引く
・ダリヤ(ドリー)・アレクサンドロヴナ
スティヴァの妻で、家庭の崩壊と再建の渦中にいる
・コンスタンチン(レヴィン)・ドミトリエヴィチ・レヴィン
田舎の地主で、キティとの結婚と信仰の問題に向き合う
・エカテリーナ(キティ)・アレクサンドロヴナ・シチェルバツカヤ
ドリーの妹で、レヴィンの妻となる
兄の家庭崩壊から始まる、運命の出会い
物語はモスクワで、スティヴァの不貞によって家庭が崩れかけるところから始まる。仲裁のためにサンクトペテルブルクからアンナが呼ばれ、駅でヴロンスキーと出会う。その瞬間に鉄道員の事故死が起き、アンナはそれを不吉な前兆として受け取る。アンナはドリーを説得して夫婦を一度立て直すが、別の火種が動き始める。
舞踏会、誘惑、告白で加速する崩壊
キティはヴロンスキーを信じていたが、舞踏会で彼はアンナを選ぶ。アンナ自身も動揺しつつ、サンクトペテルブルクで社交界の中心に近づき、やがてヴロンスキーの誘惑に屈して不倫に入る。競馬でヴロンスキーが落馬し、アンナが感情を隠せない様子を見せたことで、夫カレーニンの疑念は決定的になる。追い詰められたアンナは不倫を告白し、夫婦関係は形式だけのものになっていく。
逃げても解けない鎖と、列車へ向かう結末
アンナは出産で命の危険にさらされ、カレーニンはヴロンスキーを許すが、その優しさが状況を救うわけではない。アンナとヴロンスキーはイタリアへ逃亡し、その後ロシアへ戻る。しかし帰国後、ヴロンスキーは社会で自由に動けても、アンナは社交界から締め出される。孤立と不安、嫉妬が増え、モルヒネの乱用も始まる。モスクワで関係が激しくこじれた末、アンナは駅で、通過する貨物列車の下へ身を投げて命を絶つ。
もう一つの軸、レヴィンの結婚と信仰
同じ物語の中で、レヴィンとキティの人生も大きく描かれる。傷ついたキティは療養を経て変化し、二人は和解して結婚する。弟ニコライの死や家庭の重みの中で、レヴィンは生きる意味を見失い、自殺願望にまで沈む。だが農民との対話をきっかけに、人生の意味を神への奉仕に見出し、信仰へ戻っていく。物語の終盤、レヴィンは完全な人間になったわけではないが、意味のある方向へ進めると受け止める。
この小説のポイント
恋愛の熱だけじゃなく、社会の視線、制度、家族の結び目がどう人を追い詰めるかが徹底的に描かれている。同時に、田舎での生活や信仰の問題を通して、別の角度から「どう生きるか」が並走してくるのが大きい。
たぶんこんな小説
人の感情が美しくも怖くも見えるタイプの作品。恋の高揚がそのまま救いにはならず、社会の空気とぶつかり続ける。もう一方で、静かな生活の中で意味を探す道も並んでいて、読み終えると人生の温度差が頭に残る感じ。

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