※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
復活
(Воскресение)
著者:レフ・トルストイ
昔の罪が裁判で帰ってきて、人生まるごと償いに突っ込んでいく話
貴族ネフリュードフは、若い頃にカチューシャへ犯した罪を抱えたまま大人になっている。10年後、陪審員として出席した裁判で、売春婦となった彼女が無実なのに有罪にされ、シベリア流刑を宣告される場面に立ち会ってしまう。そこから彼は、彼女を救うために動きながら、自分の生き方そのものを根こそぎ問い直していく。
ざっくり時系列
若いネフリュードフが叔母の屋敷でカチューシャと恋に落ちる
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都会で酒と賭博に溺れた後、屋敷へ戻る
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ネフリュードフがカチューシャに性的暴行を加え、妊娠させる
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カチューシャは追い出され、不幸が重なり売春婦マスロヴァになる
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10年後、ネフリュードフが陪審員として裁判に出る
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無実のマスロヴァに有罪判決が下り、シベリア流刑が決まる
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ネフリュードフが彼女を助けようと動き、獄中で囚人たちの現実に触れる
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貴族社会の裏側にある巨大な残酷さと不正義を思い知る
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財産を手放し、土地を農民へ譲る決意をする
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マスロヴァを追って流刑地へ向かい、結婚を考える
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旅の途中でマスロヴァが別の男と恋に落ちる
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ネフリュードフはそれを祝福し、贖罪を求めて流刑地で生きる道を選ぶ
物語の主要人物
・ドミトリー・イワノヴィチ・ネフリュードフ
貴族で、過去の罪の償いとして人生を変えていく主人公
・カチューシャ(カテリーナ・ミハイロヴナ)・マスロヴァ
かつてネフリュードフが愛した女性で、のちに売春婦として生きることになる
罪の記憶が、裁判で現実になる
ネフリュードフは若い頃、叔母の屋敷で暮らすカチューシャと恋に落ちる。しかし都会へ出て堕落したのち、屋敷へ戻った彼は彼女に暴力をふるい、妊娠させてしまう。追い出されたカチューシャは不幸の連鎖の中で壊れていき、やがてマスロヴァという名の売春婦になる。時間が経っても、その罪は終わっていなかった。
“助けたい”が、世界の地獄を見せてくる
10年後、ネフリュードフは陪審員として法廷に座り、マスロヴァが無実なのに有罪とされ、シベリア流刑を宣告される場面に立ち会う。彼は彼女を救うために動き始め、獄中で囚人たちと出会い、彼らの話を聞き、現実を目撃していく。理由もなく鎖につながれる人、理由もなく殴られる人、理由もなく地下牢に閉じ込められる人。そこで彼は、自分が生きてきた華やかな貴族社会の裏側に、巨大な不正義と苦しみが広がっていることに気づいていく。
全部手放して、追いかけた先で選ぶ道
ネフリュードフは財産を手放し、土地を農民へ譲る決意をする。そしてマスロヴァを追って流刑地へ向かい、結婚まで考える。けれど、シベリアへの長旅の途中でマスロヴァは別の男と恋に落ちる。ネフリュードフはそれを祝福し、自分は贖罪を求めて流刑地で生き続ける道を選ぶ。
この小説のポイント
個人の恋や救済の話で終わらず、裁判や制度、階級、教会のあり方まで一気に照らし出していく。助けようとする行為が、そのまま主人公自身の精神と道徳を壊して作り直していく流れが中心になってる。
たぶんこんな小説
読んでると、優しい話というより、現実を正面から見せられる感じが強い。でもそのぶん、誰かを救うってことが、どれだけ自分の生き方を変えるのかが刺さる作品。静かなタイトルなのに、中身はかなり激しい熱量がある。

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