※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
シルマリルの物語
(The Silmarillion)
著者:J・R・R・トールキン
世界の始まりから指輪の時代までを、神話モードで一気にぶちまける話
この本は、物語が1本ドーンじゃなくて、創造神話・神々の図鑑・宝石戦争・島国の没落・指輪の歴史まとめ、っていう5部セット。
エアという世界がどう生まれて、誰が世界を整えようとして、誰がぶっ壊しに来て、そこからエルフや人間の歴史がどんなふうに雪崩れていくのかを、年代順で追いかけていく感じ。
『ホビットの冒険』や『指輪物語』の舞台である中つ国の、めちゃくちゃ古い地層をまとめて掘り返す本、って空気だよ。
ざっくり時系列
エル=イルーヴァタールがアイヌルを創り、音楽から世界の構想が生まれる
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多くのアイヌルが世界アルダに入り、ヴァラールとマイアールになる
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メルコールが調和を乱し、破壊と創造のせめぎ合いが続く
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二つのランプが壊され、ヴァラールはアマンへ移り、ヴァリノールを築く
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二本の樹が光をもたらし、星が輝き、エルフが目覚める
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メルコールが樹を滅ぼし、フェアノールの宝石シルマリルを奪う
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ノルドールが追撃し、ベレリアンドで長い戦いが続く
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ベレンとルーシエンがシルマリルを奪い返す
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戦争はさらに拡大し、ベレリアンドは大きく失われる
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残るシルマリルは争いを生み、ひとつは裂け目へ、ひとつは海へ消える
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第二紀、ヌーメノールが不死を求めてヴァリノールへ向かい、島が水没する
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サウロンは肉体を失い、中つ国へ戻るが昔の姿は取れなくなる
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亡命者たちがアルノールとゴンドールを築く
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第二紀と第三紀の指輪の歴史が語られ、『指輪物語』の出来事の要約へつながる
物語の主要人物
・イルーヴァタール
「唯一なる者」。世界の構想を示し、アイヌルに音楽を命じる
・メルコール(後のモルゴス)
音楽を乱し、世界を自分のものにしようとして破壊を繰り返す存在
・フェアノール
二本の樹の光を宿す宝石シルマリルを創るノルドールの王子
・ウンゴリアント
樹の破壊に関わる暗い蜘蛛の精霊
・サウロン
メルコールの配下となったマイアールの一人で、後の時代の大きな火種になる
・ベレン
ドリアスに迷い込み、ルーシエンと結びつき、シルマリル奪還に挑む人間
・ルーシエン
シンゴルとメリアンの娘で、ベレンと共にシルマリルを奪い出す
・エアレンディル
宝石を手がかりに海を渡り、ヴァラールの助けを求める
・エルロンド
血統を選べる子孫の一人で、エルフの道を選ぶ
・イシルドゥア
後の指輪の歴史につながる人物として要約部で触れられる
音楽で宇宙が始まって、神々の仕事場が動き出す
最初の空気は「創造神話」ど真ん中。
イルーヴァタールがアイヌルを集め、テーマを示し、そこから偉大な音楽が生まれる。ところがメルコールが自分の歌をねじ込んで、調和が崩れる。
それでも音楽は止まらず、最後に幻影として世界アルダが示され、入って統治する者が現れる。大アイヌルがヴァラール、小アイヌルがマイアールになって、世界を整える作業が始まるんだけど、メルコールが延々と邪魔をし続ける。
光が盗まれ、宝石が火種になり、第一紀が戦争まみれになる
ランプが壊され、ヴァラールがアマンへ移って、二本の樹の光で世界が照らされる。そこからエルフの目覚め、招きによる分裂、そしてフェアノールのシルマリル誕生。
でもメルコールが樹を滅ぼし、シルマリルを奪って逃げることで全部が加速する。追う側も誓いで引き返せなくなり、ベレリアンドで長い戦いへ。
その中で、ベレンとルーシエンが要塞に踏み込み、王冠から宝石を奪い出す流れが大きな山場になってる。
島国が沈み、指輪の時代へ橋がかかる
第一紀の末には大きな決戦があり、メルコールは追放され、世界の地形も変わる。残るシルマリルは持つ資格がない形で奪われ、ひとつは裂け目へ、ひとつは海へ消えていく。
次の時代はヌーメノールの興亡。サウロンが捕虜から影響力を持ち、王が不死を求めてヴァリノールへ向かった結果、島は水没し、世界は作り直され、ヴァリノールは届かない場所へ移される。
最後の部では、第二紀と第三紀の指輪の歴史がまとめられて、『指輪物語』の出来事の要約で締まる。
この小説のポイント
・世界の誕生から第三紀までを、神話と年代記でつなげている
・創造、神々の性格説明、戦争叙事詩、没落史、歴史要約と、文体のモードが切り替わる
・シルマリルという「光の結晶」が、誓いと戦争と喪失を連鎖させていく
・後の物語の地名や血筋や因縁が、ここで根っこから生える
たぶんこんな小説
でっかいファンタジー世界の「取扱説明書」なんだけど、説明だけじゃなくて、ちゃんと神話の語り口で熱量もあるやつ。
創造の話で始まったと思ったら、急に神々の名鑑になって、気づいたら宝石をめぐる大戦争に巻き込まれて、そのまま島国の没落と指輪の時代に着地する。
読みながら「この世界、最初から壮大にこじれてるな」って感覚がじわじわ増えていくタイプ。

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