終わらざりし物語ってどんな話?ざっくり時系列で整理

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。




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終わらざりし物語
(Unfinished Tales)
著者:J・R・R・トールキン

本編の裏側に落ちてた断片を拾ったら、中つ国の解像度が急に上がっちゃう話

これは小説一発ドーンというより、物語とエッセイの詰め合わせ。J・R・R・トールキンが生前に完成させきれなかった原稿を、息子のクリストファー・トールキンが編集して1980年に本にしたやつだよ。収録作の多くは、のちにシルマリルの物語で形を変えて語り直されてもいるし、指輪物語の出来事を、もっと個人的じゃない視点でまとめた内容も入ってる。
ただし“未完成”って言っても一種類じゃなくて、途中でプツッと止まるもの、断片が連なってるもの、定義がまだ固まってないもの、みたいにタイプがいろいろ。だから一冊の中で、読み物としてぐいぐい進む部分もあれば、設定資料の集大成みたいに眺める部分もある感じ。各話には、矛盾点や不明瞭さを説明する長い注釈も付いてる。

ざっくり時系列

トールキンが中つ国関連の物語や草稿を多数残す

息子クリストファーが資料を編集し、1980年に出版

未完成の意味を3タイプとして説明し、注釈も厚めにつける

第一紀〜第三の時代+補遺的な章に分かれて収録される

シルマリルの物語で改変されて再提示された話も多い

商業的に成功し、需要の強さが可視化される

その流れが全12巻の中つ国の歴史へつながっていく

一部は後年の映像作品づくりにも参照される

物語の主要人物

・J・R・R・トールキン
中つ国の物語群を残した作者。未完成の草稿や別バージョンが多い

・クリストファー・トールキン
息子で編集者。資料をほぼそのままの形でまとめ、注釈で補助する

・ガンダルフ
第三の時代パートなどで、より広い視点から語られる軸になる存在

・ビルボ・バギンズ
ホビットの狭い視点と対照される存在として触れられる

・フロド・バギンズ
指輪物語の出来事を要約した部分などで関わる

・イシルドゥア
一つの指輪喪失に関する出来事で焦点になる

・ガラドリエル
起源や歴史に関する文書が収録される

未完成って言っても放り投げじゃなくて、あえて生の草稿を見せる始まり方

クリストファーは「未完成」を3つの意味で捉えてる。文章が突然終わってしまう、断片の連続、そもそも定義が固まりきってない。さらに、シルマリルの物語みたいに断片をつないで一つの物語へ整える編集とは違って、この本は基本的に“トールキンが残した形”を大きく崩さない方針でまとめられてる。
そのぶん読む側は、完成品のきれいな一本道というより、草稿の分岐や別ルートを覗き込む体験になる。だからこそ、各話に長めの注釈がついて、どこが不明瞭で、どこが矛盾して見えるかを説明してくれる。

第一紀から第三の時代まで、表に出にくかった出来事と設定がどっと増える

中身はパートごとに時代が分かれてる。第一紀ではトゥオルやゴンドリンに関わる話、フーリンの子供たちの長編的な流れの詳細。第二紀はヌーメノールの記述や、アルダリオンとエレンディスの話、王たちの系譜、ガラドリエルとケレボルンの歴史。第三の時代では、グラッデン平原での一つの指輪喪失、ゴンドールとローハンの関係、エレボールの探求、指輪探し、アイセンの浅瀬の戦い、みたいに指輪物語やホビットでさらっと触れられる範囲をガッと厚くしてくる。
さらに補遺的な章として、ドルーダイン、イスタリ、パランティリなどもまとまっていて、中つ国の理解を広げる助けになるタイプの内容も多い。

読み終わると、物語が増えたというより世界が立体になって残る

学者や批評家からは、背景理解が必要だという注意とセットで慎重に迎えられた一方、トールキン作品の中でも特に評価する声もあったらしい。商業的にも成功して、解説や注釈付きで読まれる需要があることが示され、そこから中つ国の歴史へ流れていった、という筋も面白いところ。
あとパート3のエレボールの探求は、ガンダルフ視点の博識さが、ホビット側の限られた視点と対照的だと言われていて、後年の映像化でも物語に厚みを足す材料として使われた、って話も出てくる。

この小説のポイント

未完成の形をそのまま見せる編集方針で、草稿の分岐や別バージョンが味わえる
第一紀〜第三の時代までを横断して、人物・出来事・場所の情報が増える
長い注釈が付いていて、矛盾や不明瞭さの位置がわかる作りになっている
商業的成功が、後続の中つ国の歴史につながっていく流れがある
ガンダルフ視点など、本編とは違う角度の語り口が入っている

たぶんこんな小説

読書というより、巨大な世界の資料室に入って、引き出しを開けまくる感じに近い。完成された物語の気持ちよさというより、出来事の背景や別ルート、設定の厚みがじわじわ増えていくタイプ。ページを閉じたあと、本編の同じ場面を思い出したときに、あれって裏でこう動いてたのかもな、みたいな余韻が残るやつ。

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