※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
農夫ジャイルズの冒険
(Farmer Giles of Ham)
著者:J・R・R・トールキン
のんびり農夫がドラゴン相手に成り上がる話
太っちょで気楽な農夫ジャイルズが、偶然の英雄扱いから始まり、ずる賢いドラゴンと渡り合いながら、いつの間にか王に並ぶ立場まで登っていく喜劇。
剣も騎士も伝説も、全部ちょっとズレていて、そのズレがそのまま面白さになっている物語。
ざっくり時系列
農夫ジャイルズが巨人を追い払う
↓
英雄として評判が広まり、王から古剣をもらう
↓
巨人の噂を聞いたドラゴンが現れる
↓
騎士たちは役に立たず、村人はジャイルズに期待する
↓
ジャイルズがドラゴンと直接対峙する
↓
剣の力でドラゴンを屈服させる
↓
最終的にドラゴンを倒し、領主として力を持つ
物語の主要人物
・農夫ジャイルズ
気楽な農夫。偶然の行動から英雄視されていく
・クリソフィラックス
狡猾で強欲なドラゴン。理屈も達者
・国王
形式ばった権威の象徴。実務能力は低い
・王国の騎士たち
肩書きは立派だが、実戦では頼りない
英雄になるつもりのない男
物語の始まりでジャイルズは、英雄になる気などまったくない。
ただ自分の土地に迷い込んできた巨人を、古風な銃で追い払っただけ。それなのに村人たちは大騒ぎし、彼を英雄扱いする。
この勘違いからすべてが転がり始める。
伝説がズレていく世界
巨人の噂につられて現れたのがドラゴン、クリソフィラックス。
本来なら騎士が倒す存在なのに、騎士たちは言い訳ばかりで何もしない。
代わりに期待されるのが、なりゆきで剣を持たされた農夫ジャイルズ。
しかもその剣は、実はドラゴン退治用というオマケ付きだった。
剣と農夫とドラゴンの力関係
ジャイルズとドラゴンの対決は、勇敢さよりも駆け引きが中心。
剣は勝手に活躍し、ドラゴンは言葉巧みに逃げ道を探す。
最終的にジャイルズはドラゴンを倒し、宝と人手を手に入れ、気づけば一地方を支配する存在になっている。
この小説のポイント
・英雄譚をわざとズラして描くパロディ性
・言葉遊びや擬似翻訳設定のユーモア
・力よりも偶然と現実的判断が物事を動かす
・小さな土地と暮らしへの愛着が滲む世界観
たぶんこんな小説
昔話っぽいのに、ずっと皮肉が効いていて軽快。
壮大な使命よりも、成り行きと人間くささが前に出る。
肩の力を抜いて読めるけど、トールキンらしい知的な遊び心が最後まで続く一冊。

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