※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
星をのんだかじや
(Smith of Wootton Major)
著者:J・R・R・トールキン
星を飲み込んだ少年が、妖精の国を行き来する話
24年に一度の祝祭で焼かれる大きなケーキ。その中に紛れ込んでいた星を、少年スミスはうっかり飲み込んでしまう。
やがて額に星を宿した彼は、日常と妖精の国を行き来するようになる。
これは冒険の武勇伝というより、長い時間をかけて静かに続く、不思議な往復の物語。
ざっくり時系列
24年に一度の祝祭が行われる
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大きなケーキに星が入れられる
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少年スミスが星を飲み込む
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10歳の誕生日に額に星が現れる
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妖精の国をさまよい始める
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大人になり鍛冶屋として生きる
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妖精の国への旅を重ねる
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再び祝祭の年が来る
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星を料理長アルフに譲る
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星は次の子供たちへ渡される
物語の主要人物
・スミス
鍛冶屋の息子。額の星によって妖精の国を訪れる
・ノークス
物語冒頭の料理長。祝祭のケーキを任される
・アルフ
ノークスの弟子で後の料理長。星を受け継ぐ人物
・妖精の女王
妖精の国の支配者。物語の終盤で姿を現す
村の祝祭から始まる、ささやかな異変
物語の舞台はウートン・メジャー村。
ここでは24年に一度、「よい子たちの祝祭」が開かれ、料理長が腕を振るう大きなケーキが焼かれる。
ケーキの中には小物が隠される習わしがあり、その年は星が紛れ込んでいた。
祝宴の最中、星は見つからないまま、鍛冶屋の息子スミスの体の中へ入ってしまう。
星が開く、もう一つの世界
しばらく何も起こらなかったが、10歳の誕生日の朝、星はスミスの額に現れる。
それは妖精の国への通行証だった。
スミスは成長し、父と同じく鍛冶屋として働きながら、時間を見つけては妖精の国を訪れる。
そこは美しくも危険な場所で、星は彼を守り、妖精たちは彼を「星の眉毛」と呼んだ。
旅はいつまでも続かない
スミスは何度も妖精の国を巡り、やがて妖精の女王と出会う。
その過程で、この世界の王の正体も明らかになる。
長い年月が過ぎ、再び祝祭の年がやってくる。
スミスは、星が自分だけのものではないと悟り、料理長となっていたアルフに星を譲り渡す。
この小説のポイント
・日常と妖精の国が自然につながっている構成
・特別な力を持つことと、それを手放すことの描写
・派手な冒険より、時間の流れが強く印象に残る
・物語が循環して次の世代へ渡っていく形
たぶんこんな小説
静かで、ゆっくり進むけれど、読後に不思議な余韻が残る。
子どもの頃の体験と、大人になってからの人生が同じ線上にある感じ。
読み終わると、星はちゃんと次の場所へ行ったんだな、と思わせてくれる物語。

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