※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ニグルの木の葉
(Leaf by Niggle)
著者:J・R・R・トールキン
一枚の葉に人生をかけた画家が、本物の森へ辿り着く話
芸術が軽んじられる社会で生きる画家ニグルは、ただ自分の満足のために、一枚一枚の葉まで描き込んだ巨大な木の絵を描き続けている。しかし雑務や隣人の手助けに追われ、作品は完成しないまま「旅」に出ることになる。そこで彼は、かつて描こうとしていた世界そのものと向き合うことになる。
ざっくり時系列
画家ニグルが巨大な木の絵を描き続ける
↓
日常の雑務と隣人パリッシュの手助けに追われる
↓
絵は未完成のまま時間だけが過ぎる
↓
旅に出る時が来てしまう
↓
準備不足のまま旅に出て施設に入れられる
↓
雑用をこなす日々を送る
↓
元の家に戻ると絵はほぼ失われている
↓
穏やかな治療のため別の場所へ送られる
↓
絵で描いた森そのものの世界に辿り着く
↓
パリッシュと再会し、森を完成させる
↓
山へ向かう旅に出る
物語の主要人物
・ニグル
木の絵を描くことに人生を捧げた画家
・パリッシュ
ニグルの隣人で、足の不自由な庭師
絵を描きたいのに、いつも邪魔が入る日常
ニグルは、遠くに森を抱えた大きな木の絵を描いている。彼にとって重要なのは全体よりも葉一枚一枚で、それぞれが唯一無二の存在だ。しかし社会は芸術に理解がなく、隣人パリッシュからの頼み事や、避けられない雑務が次々と舞い込む。ニグル自身も風邪をひき、絵に集中できないまま時間が過ぎていく。
未完成のまま始まる、戻れない旅
ニグルは、心のどこかで「旅」に出る時が近いことを知っている。十分な準備ができないまま旅立つと、彼は一種の施設に入れられ、毎日雑用を課される生活を送ることになる。元の家に戻ることはできず、残された絵も放置され、ほとんどが失われてしまう。
描いた世界そのものに辿り着く結末
やがてニグルは、穏やかな治療のため別の場所へ送られる。そこは、彼がかつて描こうとしていた木と森が完全な形で存在する世界だった。ニグルはパリッシュと再会し、庭師としての彼の力を借りながら森をさらに育てていく。そして最後には、絵の奥にかすかに見えていた山々へと旅立っていく。
この小説のポイント
未完成の作品や報われなかった努力が、別の形で意味を持つ過程が物語として描かれている。描くこと、助けること、時間を失うことがすべて同じ流れの中に置かれている。
たぶんこんな小説
静かでやさしい雰囲気の中で、ものづくりと人生が重なっていく感じ。派手な展開はないけれど、最後には世界が少し広がったような感覚が残る作品。

コメント