※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
宇宙の戦士
(Starship Troopers)
作品データ
著者:ロバート・A・ハインライン
ジャンル:SF/軍事SF/成長小説
普通の青年が入隊して、戦争と責任の重さを骨の髄まで叩き込まれる話
未来の地球連邦では、兵役を終えた者だけが完全な市民になれる。軽い気持ちで入隊したジョニー・リコは、苛烈な訓練と実戦を通じて、「命を賭けて守るとはどういうことか」を徹底的に学ばされる。派手な戦闘の裏で、参政権、義務、暴力、社会のあり方が語られ続ける、かなり思想の強い戦争体験記。
ざっくり時系列
未来社会でジョニー・リコが高校を卒業する
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進路に迷い、地球連邦軍への入隊を決意する
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機動歩兵隊に配属され、過酷な基礎訓練を受ける
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訓練中に仲間が脱落・死亡し、戦争の現実を知る
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異星種族アラクニッドとの戦争に参加する
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実戦を重ねる中で階級が上がり、責任が増していく
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教室での授業を通して、参政権と奉仕の関係を学ぶ
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最終的に士官となり、部隊を率いる立場に立つ
物語の主要人物
・フアン・リコ
フィリピン系の青年。物語の語り手
・カール・ジェンキンズ
リコの友人。軍の別部門に進む
・カルメン・イバニェス
リコの幼なじみ。宇宙艦隊に進む
・デュボア教官
市民権と責任を教える教師
市民権は「権利」じゃなく「報酬」
地球連邦では、生まれただけでは投票権はもらえない。命を懸けて社会に奉仕した者だけが、市民として発言できる。リコは学校の授業や軍での教育を通して、この価値観を叩き込まれる。ここでは、自由は当然のものではなく、危険を引き受けた対価として扱われる。
訓練がすでに戦争並みにきつい
機動歩兵の訓練は、生半可な覚悟を許さない。体罰、死、脱落が当たり前で、ついていけない者は消えていく。パワードアーマーを着て戦う未来の兵士像が描かれる一方で、精神的な服従と規律が強調される。
バグズとの戦争は、敵が何かより重要なものがある
アラクニッドとの戦争は、人類存亡をかけた戦いとして描かれる。ただし敵の文化や感情はほとんど語られず、「倒すべき存在」として扱われる。その中でリコは、個人の感情よりも命令と組織を優先する思考へと変わっていく。
成長とは、疑問を捨てることなのか
物語の合間に挟まれる哲学的な授業では、暴力、刑罰、参政権、責任が議論される。リコは次第にこの価値観を受け入れ、疑問よりも役割を選ぶ。新兵だった彼は、気づけば部下を率いる士官になっている。
この小説のポイント
・市民権と兵役を結びつけた極端な社会設定
・パワードアーマーと未来戦争の具体的描写
・戦闘よりも「思想教育」が印象に残る構成
・読む側の価値観を強く試してくる内容
たぶんこんな小説
ド派手な戦争SFを期待すると、途中で妙に説教くさくなる。でも読み進めるほど、「これは本当に正しいのか?」と考えさせられる。好き嫌いは分かれるけど、読み終わったあとも頭から離れないタイプの一冊。

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