失踪者ってどんな話?ざっくり時系列で整理

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。




Amazon.co.jp: 失踪者 カフカ
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失踪者
(Der Verschollene)
著者:フランツ・カフカ

追放された少年が、アメリカで居場所を探し続ける話

ドイツから追い出された少年カール・ロスマンが、よく分からない理不尽に振り回されながら、アメリカを転々とする物語。
助けてくれる大人が現れたかと思えば突然突き放され、仕事に就けたと思えば一瞬で失う。
どこかに落ち着けそうで、毎回その直前で足場が崩れる。その繰り返しの中を、カールは前に進き続ける。

ざっくり時系列

ドイツで問題を起こす

両親によりアメリカへ追放される

船の火夫をかばい、正義感を発揮する

実の伯父に引き取られ、裕福な生活を送る

伯父の意向に逆らい、突然追い出される

放浪の末、知り合った男たちと行動する

ホテルで仕事を得て、安定しかける

旧知の男のせいで解雇される

使用人のような立場に落ち着く

巨大なオクラホマ野外劇場の募集に応じ、列車に乗る

物語の主要人物

・カール・ロスマン
 ドイツから追放された少年。流されながらも真面目に生きようとする

・エドワード・ヤーコブ
 カールの伯父。裕福な上院議員で、最初は後見人となる

・ロビンソン
 行動を共にすることになるアイルランド人。トラブルメーカー

・ドラマルシュ
 フランス人。要領よく立ち回り、ロビンソンと対照的な存在

・テレーゼ
 ホテル・オクシデンタルで出会うタイピスト。カールに好意的

・ブルネルダ
 ドラマルシュの同棲相手。強烈な存在感を持つ女性

アメリカに着いた瞬間から、すでに居場所が不安定

物語は、カールがアメリカに到着する場面から始まる。
船で出会った火夫の不遇な立場に義憤を覚え、カールは勢いで上役に訴え出る。
その場に現れたのが、実は伯父であるヤーコブだった。
ここで一気に状況は好転し、カールは裕福で秩序だった生活に身を置くことになる。

豊かさの次に来るのは、突然の断絶

伯父のもとで教育を受け、将来も保証されたように見えたカールだが、ある招待をきっかけに流れが変わる。
伯父の意に反した行動を取ったことで、理由も十分に説明されないまま追い出されてしまう。
夜の街に放り出されたカールは、そこから転々と人に出会い、仕事を探し、居場所を探すことになる。
ホテルで職を得たときは、ようやく安定したかに見えたが、過去の縁が原因であっけなく解雇される。

行き着いた先は、終わらない「途中」

その後カールは、半ば使用人のような生活に入り込み、理不尽な命令に従う日々を送る。
そんな中で目にしたのが、条件不問で人を集めるオクラホマ野外劇場の募集だった。
巨大で正体のよく分からないその場所に惹かれ、カールは列車に乗り込む。
物語は、カールが新たな集団に加わり、さらに先へ向かうところで途切れている。

この小説のポイント

・善意や真面目さが、必ずしも報われない流れ
・助けてくれる人と、突然突き放す人の落差
・仕事や肩書きが、人の価値を簡単に決めてしまう空気
・どこか現実なのに、少しずれている世界の感触

たぶんこんな小説

ずっと移動していて、どこにも完全には落ち着かない感じ。
読んでいると、地面が少し斜めになっている場所を歩いているような気分になる。
安心しかけた瞬間に、また別の場所へ連れて行かれる。
そんな感覚が、最後まで静かに続いていく小説。

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