アンドロイドは電気羊の夢を見るか?ってどんな話?ざっくり時系列で整理

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Amazon.co.jp : アンドロイドは電気羊の夢を見るか?




アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
(Do Androids Dream of Electric Sheep?)
著者:フィリップ・K・ディック

人間っぽすぎるアンドロイドを殺しながら、人間って何だっけ?と壊れていく話

核戦争後の荒廃した地球で、賞金稼ぎデッカードは逃亡アンドロイドを「引退」させる仕事をしている。本物の動物を買うために始めた任務は、アンドロイドの方がよほど人間らしく見えてくるにつれ、彼自身の価値観と精神を削っていく。共感こそが人間の証だと信じてきた世界で、共感が一番壊れていくのは誰なのか、という問いが最後までつきまとう。

ざっくり時系列

核戦争後の地球で動物がほぼ絶滅する

本物の動物が最高のステータスになる

デッカードが逃亡したネクサス6型を追う任務を受ける

ローゼン協会でレイチェルがアンドロイドだと判明する

地球でアンドロイド狩りを開始する

偽の警察署事件で自分の人間性を疑われる

アンドロイドに共感を抱いている自分に気づく

レイチェルと関係を持ち、裏切りを知る

廃墟のアパートで残りのアンドロイドを殺害する

報酬を得るが、ヤギを殺される

荒野で幻覚と向き合い、電気ヒキガエルを持ち帰る

物語の主要人物

・リック・デッカード
サンフランシスコ市警の賞金稼ぎ。逃亡アンドロイドを追う

・イラン・デッカード
リックの妻。感情調整装置を使いながら鬱屈した日々を送る

・レイチェル・ローゼン
ローゼン協会の女性。ネクサス6型アンドロイド

・ジョン・R・イシドア
知的障害を負った孤独な男性。アンドロイドに親しみを抱く

・マーサー
共感宗教の象徴的存在。幻覚としてデッカードに現れる

動物も共感も失われた世界で、人間の価値が測られる

戦争で汚染された地球では、動物を飼うことが善良さと成功の証になっている。本物を買えない人々は電気動物で代用し、見た目だけの倫理が広がっている。
アンドロイドは人間と見分けがつかないほど精巧で、共感テストだけが区別の手段。デッカードはそのテストを武器に仕事をしているが、次第に自分の行為が正しいのか分からなくなっていく。

アンドロイドを殺すほど、人間らしさが揺らいでいく

捜査の途中、デッカードは偽の警察署に捕まり、自分がアンドロイドではないかと疑われる。テストで人間だと証明されるものの、彼自身は特定のアンドロイドに共感していることが分かる。
特にレイチェルとの関係は決定的で、彼女が人間の感情を利用するために作られた存在だと知りながらも、デッカードは惹かれてしまう。彼女と寝た後、彼女が任務妨害のために賞金稼ぎを誘惑する役割だと明かしたことで、デッカードの倫理は完全に崩れる。

共感を信じた世界で、最後に残ったのは虚無

廃墟のアパートで残るアンドロイドを全て殺したデッカードは、高額な報酬を得る。しかし帰宅すると、レイチェルが彼のヤギを殺していたことが分かる。
その後、彼は荒野へ向かい、幻覚のマーサーと同じ体験をし、絶滅したはずのヒキガエルを見つける。希望の象徴かと思いきや、それも電気製だった。それでも妻は、その電気ヒキガエルを世話しようとする。完全に偽物でも、世話する行為自体に意味があるかのように。

この小説のポイント

人間とアンドロイドの違いを「共感」で測ろうとする世界観
動物愛護と倫理が、ステータスとして歪んでいる
主人公が仕事を通じて人間性を失っていく構造
宗教・幻覚・テクノロジーが混ざり合う不安定さ
ハッピーでもバッドでもない、後味の悪さが残る結末

たぶんこんな小説

SFなんだけど、未来の話というより、今の価値観を無理やり極端にした感じ。正しいことをしてるはずなのに、どんどん気持ち悪くなっていく読書体験で、読み終わると「人間らしさって、行動なのか感情なのか」って考え込む。すっきりしないけど、ずっと頭に残るタイプの一冊。

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