ヴァリスってどんな話?ざっくり時系列で整理

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。




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ヴァリス
(VALIS)
著者:フィリップ・K・ディック

神を見たかもしれない男が、自分の正気を疑い続ける話

1974年、ピンク色の光線を浴びた体験をきっかけに、世界の裏側に「何か」があると確信してしまった男がいる。
それは神の啓示なのか、宇宙知性からの通信なのか、それとも単なる精神の異常なのか。
本人すら答えを出せないまま、仲間たちと議論し、映画を観て、子どもの救世主に出会い、そしてまた失う。
この物語は、真理を掴もうとする試みと、その試み自体を疑う視線が、同時に走り続ける。

ざっくり時系列

1974年、ホースラバー・ファットがピンク色の光線を見る

ファットはその現象を「ゼブラ(後のVALIS)」と名付ける

仲間たちと現実の正体について議論を始める

宇宙探査機や神的知性による介入という仮説が浮上する

映画『ヴァリス』を観て、自分の体験と一致する啓示に衝撃を受ける

映画の製作者を探してランプトン家へ向かう

2歳の少女ソフィアを「聖なる知恵の化身」と結論づける

ソフィアが事故で死亡する

ファットは次の化身を求めて旅に出る

同時に、体験は病理だった可能性も語られる

物語の主要人物

・フィル
語り手。SF作家で、物語を理性的に眺めようとする側面を持つ

・ホースラバー・ファット
フィルの別人格。啓示を本気で追い求める存在

・ケビン
皮肉屋の友人。議論のブレーキ役になる

・デイビッド
カトリック信徒の友人。宗教的視点を持ち込む

・エリック・ランプトン
ロックスター。映画『ヴァリス』に関わる人物

・リンダ・ランプトン
女優。ソフィアの母親

・ソフィア・ランプトン
2歳の少女。聖なる知恵の化身とされる

啓示と妄想の区別が、最初からつかない

この話の怖さは、「これは本当に起きたことか?」を、誰も断定できないところ。
ファットは確信しているけど、フィル自身は疑っている。
宇宙知性、神、人工衛星、歴史への介入、どれも筋は通っているようで、どこか危うい。

小説の中に、映画があり、さらに現実が揺れる

作中映画『ヴァリス』は、登場人物の体験をそのまま映しているように見える。
物語の中の物語が、現実と干渉し始めて、「どこまでが創作なのか」が溶けていく。
ディック自身の人生と切り離せない構造になっているのが、この小説の特徴。

救世主は見つかっても、すぐに失われる

ソフィアは答えを与える存在として現れるが、すぐに死ぬ。
希望が提示されるたびに、それは壊れる。
それでも探すのをやめないのが、ファットという存在のしんどさでもある。

この小説のポイント

・SFでありながら、神学と精神医学が正面衝突している
・作者自身が語り手と登場人物に分裂している構造
・真理を信じる衝動と、それを疑う理性が同時進行する
・答えよりも「問い続ける状態」そのものが物語

たぶんこんな小説

これは宇宙人の話でも、神の話でもあるけど、
一番のテーマは「自分の体験をどこまで信じていいのか」。
読んでる側も、
「これ、全部本当だったらどうしよう」と
「いやいや、さすがにそれは…」を
行ったり来たりさせられる。
最後まで、足場がぐらついたまま終わるSFだよ。

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