※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ミスター・メルセデス
(Mr. Mercedes)
作品データ
著者:スティーヴン・キング
ジャンル:推理小説/犯罪小説
引退刑事が連続殺人犯に私生活ごと挑発される話
就職フェアで起きた大量殺人事件をきっかけに、引退した元刑事ビル・ホッジスが、自ら名乗り出てくる犯人「ミスター・メルセデス」との個人的で危険な追いかけっこに巻き込まれていく。
犯人は事件を終わらせる気がなく、手紙や心理的な揺さぶりでホッジスを追い詰め続ける。一方のホッジスも、警察を離れた立場のまま、仲間と共に独自捜査を進め、次に起こる惨事を止めようとする。
ざっくり時系列
就職フェアでメルセデスが人混みに突っ込む
↓
犯人を名乗る「ミスター・メルセデス」からホッジスに手紙が届く
↓
ホッジスが独自に捜査を再開する
↓
オリヴィアの自殺と車盗難の真相が見えてくる
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犯人ブレイディの正体が浮かび上がる
↓
自動車爆弾事件が起き、犠牲者が出る
↓
ブレイディが次の大量殺戮を計画する
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コンサート会場での最終局面に突入する
物語の主要人物
・ビル・ホッジス
引退した元刑事。ミスター・メルセデス事件を個人的に追う
・ブレイディ・ハーツフィールド
大量殺人事件の犯人で「ミスター・メルセデス」を名乗る男
・ジェローム・ロビンソン
ホッジスの手伝いをする青年。コンピューターに詳しい
・ジェイニー・パターソン
事件の被害者オリヴィアの妹。ホッジスに捜査を依頼する
・ホリー・ギブニー
ジェイニーの従妹。後に捜査に加わることになる
手紙一通から始まる、孤独な男の再出発
物語は、すでに警察を辞め、空虚な日々を送るホッジスのもとに届いた一通の手紙から動き出す。
そこには、就職フェアの惨劇を引き起こした犯人を名乗る挑発的な言葉が並び、ホッジスの心を否応なく事件へ引き戻す。
彼は警察に戻ることなく、個人として真相を突き止めようと動き始める。
犯人の正体と、歪んだ計画の全貌
犯人ブレイディは、電器店で働く一見普通の男だが、内面には強い破壊衝動を抱えている。
彼は盗んだ車で事件を起こしただけでなく、被害者オリヴィアを心理的に追い詰め、自殺へと導いていた。
さらに、ホッジス周辺を観察しながら、より大きな惨事を起こすための準備を進めていく。
止められるか、最悪の結末
ブレイディはコンサート会場での自爆を計画し、事態は時間との勝負になる。
ホッジスは体調を崩しながらも仲間を前に進ませ、ホリーとジェロームが決定的な瞬間に踏み込む。
混乱の中でブレイディは制止され、計画は未遂に終わるが、事件は完全には終わらない形で幕を閉じる。
この小説のポイント
・スティーヴン・キングによる本格的な犯罪・探偵小説
・犯人と主人公の心理戦が物語の軸になっている
・警察組織ではなく、個人の行動として進む捜査
・後のシリーズへとつながる人物関係と余韻
たぶんこんな小説
派手なトリックよりも、人の心の歪みや執着がじわじわ迫ってくるタイプの一冊。
事件のスケールは大きいけれど、描かれているのはとても身近で、生々しい感情のぶつかり合い。
静かな日常が、少しずつ壊れていく感触を味わう小説。

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