ジェイルバードってどんな話?ざっくり時系列で整理

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Amazon.co.jp : ジェイルバード




ジェイルバード
著者:カート・ヴォネガット

ウォーターゲートの余波で檻に入った男が八十年分のアメリカを思い出す話

主人公ウォルター・F・スターバックは、ウォーターゲート事件に巻き込まれ、刑務所に収監されている元官僚だ。独房の中で彼が振り返るのは、自分ひとりの人生というより、労働争議、思想弾圧、世界大戦、政治スキャンダルに翻弄され続けたアメリカそのもの。過去と現在が行ったり来たりしながら、一人の「ついてない男」の記憶を通して、20世紀アメリカの歪みが浮かび上がってくる。

ざっくり時系列

スターバックが貧しい家庭に生まれる

労働運動や左翼思想に触れる

政府機関で働くようになる

世界大戦と冷戦の時代を生きる

赤狩りの空気に巻き込まれる

官僚として出世する

ウォーターゲート事件に関与する

事件の責任を負わされる

刑務所で過去を回想する

物語の主要人物

・ウォルター・F・スターバック
 ウォーターゲート事件で収監された元政府高官

・メアリー・キャスリーン・オヘア
 スターバックの人生に深く関わる女性

・ロイ・M・コーン
 赤狩り時代に影響力を持つ人物

・各時代の活動家や政治関係者
 スターバックの回想に登場する人々

刑務所から始まる長い回想

物語は、スターバックが囚人として収監されている場面から始まる。外の世界では彼は「事件の当事者」として単純に語られているが、本人の中には説明しきれない長い積み重ねがある。独房という閉ざされた空間が、彼の記憶を次々と呼び起こしていく。

理想と現実に振り回され続けた人生

若い頃のスターバックは、労働者の権利や社会正義に惹かれていた。しかし時代は赤狩りへと傾き、思想は危険なものとして扱われる。彼は生き延びるために立場を変え、官僚として体制側に組み込まれていく。その選択は成功でもあり、同時に自分をすり減らす道でもあった。

スキャンダルの果てに残ったもの

ウォーターゲート事件は、スターバック個人の悪意というより、巨大な政治構造の中で起きた出来事として描かれる。責任は末端に集まり、彼は「わかりやすい罪人」として檻に入る。そこで初めて、彼は自分の人生全体をまとめて見渡すことになる。

この小説のポイント

・一人の回想を通して描かれる20世紀アメリカ史
・理想と妥協の積み重ねが人をどう変えるか
・政治スキャンダルを個人の問題に還元しない視点
・皮肉とユーモアで包まれた怒り

たぶんこんな小説

軽口が多くて読みやすいのに、扱っているものはずっと重たい。誰か一人を悪者にして終わらせる話ではなく、時代そのものに首をつかまれていた感じがじわっと伝わってくる。笑いながら読んでいたはずが、気づくとかなり長い時間の流れを見せられている、そんな一冊。

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