※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ミクロ・パーク
著者:ジェイムズ・P・ホーガン
人間が小さなロボットになって箱庭で戦い始める話
超小型ロボットを開発する民間企業で、人間が神経を直接つないでマイクロマシンを操作する技術が生まれようとしていた。その技術をいち早く遊びに使い始めたのが、社長の息子と電脳オタクの少年。裏庭で始まったロボット同士の戦闘ごっこは、やがて巨大なビジネスの可能性を帯び、「ミクロの世界で遊ぶテーマパーク」へと膨らんでいく。遊びと技術、現実と仮想の境目が、どんどん曖昧になっていく物語。
ざっくり時系列
超小型ロボット技術の研究が進む
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人間が神経接続で操作できる技術が生まれる
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社長の息子と少年が裏庭で実験的に使う
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マイクロロボット同士の戦闘ゲームが始まる
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大人たちが商業利用の可能性に目をつける
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箱庭型テーマパーク構想が持ち上がる
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技術の影響が遊びの範囲を超え始める
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現実と仮想の区別が揺らいでいく
物語の主要人物
・社長の息子
最新技術に囲まれて育った少年
・電脳おたくの少年
ロボット操作に才能を見せる親友
・ロボット企業の大人たち
技術を事業化しようとする関係者
裏庭から始まる最先端実験
物語の始まりはとても小さい。企業の研究施設ではなく、子どもたちの遊び場だ。マイクロマシンに意識をリンクさせ、自分がその世界に入り込む感覚は、ゲームというより体験そのもの。最先端技術が、まず「楽しいこと」として描かれるのが印象的。
遊びがビジネスに変わる瞬間
子どもたちの戦闘ごっこは、大人の目には巨大な可能性に映る。安全に管理されたミクロ世界で遊ばせるテーマパーク。危険はなく、刺激だけを切り取れる理想の娯楽。だが、操作するのはロボットでも、感じているのは人間だという前提が、少しずつ見過ごされていく。
小さな世界に閉じ込められる感覚
マイクロサイズの身体で動き回る感覚は、自由であると同時に強烈だ。痛みや恐怖、勝敗の感覚がリアルになればなるほど、仮想のはずの世界が現実に食い込んでくる。安全な遊び場として設計された空間が、心理的には逃げ場のない場所に変わっていく。
この小説のポイント
・ナノテクと神経接続を組み合わせた発想
・遊びから始まる技術革新の怖さ
・仮想体験が現実感覚を侵食する過程
・子ども視点と大人視点のズレ
たぶんこんな小説
設定はワクワクするのに、読んでいるとだんだん落ち着かなくなる。ゲームみたいな話かと思ったら、気づけば「体験するって何だろう」と考えさせられる感じ。小さな世界を舞台にして、人間の感覚の大きさを試してくるSF。

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