※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
プレイヤー・ピアノ
著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
人間が機械に管理される社会で、エリートなのにモヤモヤする男の話
すべてが自動化された社会で、勝ち組として生きているはずの主人公が、なぜかこの世界に違和感を覚え始める。
機械に管理され、数字で価値を決められる社会は本当に正しいのか。
その疑問が少しずつ広がり、やがて社会そのものを揺さぶる流れに巻き込まれていく話。
ざっくり時系列
自動化が完成した近未来社会が描かれる
↓
主人公はエリート技術者として安定した地位にいる
↓
機械に仕事を奪われた人々の存在が浮かび上がる
↓
主人公が社会の仕組みに違和感を覚え始める
↓
反体制的な動きと関わるようになる
↓
社会を変えようとする流れが一気に加速する
物語の主要人物
・ポール・プロテウス
自動化社会の中枢で働く技術エリート
・アニタ・プロテウス
ポールの妻で、社会的成功を重視する存在
・フィナーティ
体制から距離を置く人物で、主人公に影響を与える
・ラスコ
社会の周縁にいる存在で、別の価値観を示す人物
機械がすべてを決める国で始まる静かな違和感
舞台は、ほぼすべての生産活動が機械によって管理されているアメリカ。
人間はパンチカードの結果によって職業も地位も決められ、効率と合理性が何より重視されている。
主人公ポールは、その体制の中心にいるにもかかわらず、どこか満たされない感覚を抱えている。
便利すぎる社会で、人間の居場所がなくなっていく
仕事を奪われた多くの人々は、社会の周縁に追いやられている。
一方で、機械を管理するごく一部のエリートだけが豊かさと地位を享受している。
ポールはその構造を目の当たりにし、この社会は本当に人間のためのものなのかと考え始める。
正しさを疑った先に待っているもの
体制に疑問を持つ人々との関わりの中で、ポールは行動を選ぶ立場に立たされる。
安定を守るのか、それとも社会そのものに異を唱えるのか。
物語は、個人の迷いと社会の仕組みが正面からぶつかるところまで進んでいく。
この小説のポイント
・自動化と効率化が行き着いた社会の姿
・数字やシステムで人の価値が決まる世界観
・主人公の内面の揺れを通して描かれる文明批評
・ブラックな笑いと冷静な視線の同居
たぶんこんな小説
近未来SFっぽい設定だけど、読んでいる感覚はかなり現実寄り。
笑える場面もあるのに、読後にじわっと考えさせられるタイプ。
機械が便利になりすぎた世界を、ちょっと引いた距離から眺めている感じの一冊。

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