ゼルプの欺瞞ってどんな話?ざっくり時系列で整理

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Amazon.co.jp : ゼルプの欺瞞




ゼルプの欺瞞
著者:ベルンハルト・シュリンク

行方不明の娘を追ったら父も過去も全部ウソだった話

私立探偵ゼルプのもとに、「娘が行方不明だ」という電話の依頼が入る。名乗るのは父親。調査費用も即座に振り込まれ、話は妙にスムーズだ。だが、探り始めた女子大生の周囲は不自然な沈黙に包まれている。関係者は協力を拒み、彼女を知っているはずの医師は殺害され、依頼者自身の正体にも疑問が生じる。現在の捜索は、やがて過去の米軍基地爆発事件へとつながり、ゼルプは「誰が何を隠しているのか」を突き止めることになる。

ざっくり時系列

父を名乗る男から捜索依頼の電話が入る

調査費用が振り込まれ捜索が始まる

行方不明の女子大生の生活を調べる

関係者が非協力的だと判明する

彼女と関わりのある医師が殺害される

依頼者が父ではない可能性が浮上する

過去の米軍基地爆発事件が浮かび上がる

現在の事件と過去が結びつく

隠されていた事実が明らかになる

物語の主要人物

・ゼルプ
 依頼を受けて捜索に乗り出す私立探偵

・行方不明の女子大生
 学生運動との関わりが示唆される女性

・父を名乗る依頼者
 電話だけで指示を出す正体不明の男

・殺害された医師
 彼女の身を一時的にかくまっていた人物

手がかりがすべて拒まれる捜索

ゼルプはいつものように、失踪者の生活を一つずつ洗い出していく。しかし今回は様子が違う。友人、関係者、病院関係者、誰もが口を閉ざし、必要以上に距離を取ろうとする。探偵小説としての捜索が、最初から何かに邪魔されている感触が続く。

父と名乗る男の不自然さ

依頼者は一度も姿を見せず、連絡は常に電話だけだ。金の動きは正確で、話し方も冷静すぎる。娘を案じる父親というより、調査をコントロールしようとする第三者のようにも見えてくる。この違和感が、物語の緊張をじわじわ高めていく。

過去の事件が現在を侵食する

調査が進むにつれ、話は過去の米軍基地で起きた爆発事件へと引き寄せられていく。失踪、殺人、依頼者の正体。それぞれが別の出来事のようでいて、同じ過去に根を持っていることが見えてくる。ゼルプは、現在の謎よりも、忘れ去られた出来事の重さに直面する。

この小説のポイント

・探偵ものとして進みつつ倫理の問題を掘り下げる
・戦後ドイツの影が事件の背景にある
・「真実を知ること」が救いになるとは限らない構成
・淡々とした語りが不穏さを増幅させる

たぶんこんな小説

派手なトリックより、じわじわ効いてくる違和感が主役。読み進めるほど、誰かを信じる基準が揺らいでくる。事件解決よりも、「なぜ人は隠すのか」が静かに残る、重心の低いミステリー。

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