※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
審判
(Der Process)
著者:フランツ・カフカ
理由不明のまま裁かれ続け、気づけば処刑されている男の話
銀行員のヨーゼフ・Kは、30歳の誕生日の朝、理由も罪状も告げられないまま逮捕される。仕事も日常も続けられるが、裁判は止まらない。法廷、役人、弁護士、教誨師と関わるほど状況は混濁し、Kは自分が何と闘っているのかすら分からなくなっていく。そのまま裁判は終わらないまま進み、彼は処刑される。
ざっくり時系列
誕生日の朝に突然逮捕される
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理由を知らされないまま仕事を続ける
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日曜に最初の審理へ向かう
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聴衆が全員役人だと気づく
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裁判所事務局の異様な内部を見る
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監視人が鞭打たれる場面を目撃する
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叔父の紹介で弁護士と関わる
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画家から仮の無罪しかないと聞かされる
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弁護士を解任する
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大聖堂で掟の話を聞かされる
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31歳直前に処刑される
物語の主要人物
・ヨーゼフ・K
銀行の業務主任で、理由不明の裁判に巻き込まれる主人公
・監視人フランツ
Kの逮捕に関わった監視人の一人
・監視人ヴィレム
フランツと共にKを監視する役割
・フルト
Kが依頼する病弱な弁護士
・レニ
弁護士フルトの家にいる女中
・ティトレリ
裁判所と関わりのある法廷画家
何の説明もないまま始まる逮捕
物語は、Kの30歳の誕生日の朝、見知らぬ男たちが部屋に現れるところから始まる。彼らはKが逮捕されていると告げるが、理由は一切語られない。しかも、仕事にはこれまで通り行っていいと言われる。この時点ですでに、裁判は普通のルールから外れている。
裁判に近づくほど、仕組みが見えなくなる
審理に出向いたKは、自分の主張が通じないばかりか、そこに集まる人々が全員役人側の人間であることを知る。屋根裏に広がる裁判所事務局、意味を持たない手続き、罰を受け続ける監視人たち。関われば関わるほど、裁判は理解不能なものになっていく。
掟の話を聞き、処刑される結末
大聖堂でKは教誨師から「掟の門前」の話を聞かされる。掟に入ろうとして一生待ち続けた男の話を聞いたあとも、Kの状況は何も変わらない。そして31歳の誕生日の前夜、Kは郊外へ連れ出され、抵抗も理解もできないまま命を奪われる。
この小説のポイント
裁かれている理由も、裁判の終わりもはっきりしないまま物語が進む構造そのものが中心になっている。主人公が行動すればするほど、状況が不透明になっていく流れが積み重ねられている。
たぶんこんな小説
ずっと説明不足のまま話が進み、読者も主人公と同じ位置に置かれる感じ。理解しようとすると逃げていく世界を、淡々と最後まで見せられる作品。

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