※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
エマ
(Emma)
作品データ
著者:ジェイン・オースティン
ジャンル:風俗喜劇
お見合い名人を自称するお嬢さまが、恋の相関図をぐちゃっとして自分の心に気づく話
村ハイベリーの地主階級のお嬢さまエマは、友人ミス・テイラーをウェストン氏と結婚させたことで「私、縁結びの才能あるかも」と調子に乗る。次は若い友人ハリエットを牧師エルトン氏とくっつけようとして、プロポーズの断り方まで誘導。ところが当のエルトン氏はエマに求婚してきて大混乱。そこにフランク・チャーチルやジェーン・フェアファックスも加わり、噂と勘違いが連鎖していく中、エマは自分の失敗と本当の気持ちを突きつけられていく。
ざっくり時系列
ミス・テイラーがウェストン氏と結婚する
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エマが「縁結び好き」を自覚して次の計画を立てる
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ハリエットがロバート・マーティンのプロポーズを受けるか迷う
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エマがハリエットを説得してプロポーズを断らせる
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エマがハリエットとエルトン氏を引き合わせようとする
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エルトン氏がエマに求婚して拒絶される
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エルトン氏がバースへ行き、成金の妻エルトン夫人と戻る
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フランク・チャーチルがハイベリーに滞在して注目を集める
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ジェーン・フェアファックスがベイツ家に滞在し、家庭教師の職探しの話が出る
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ジェーンに匿名のピアノが届き、エマの疑いが膨らむ
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舞踏会でエルトン氏がハリエットを無視し、ナイトリー氏がハリエットにダンスを申し込む
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ハリエットがジプシー騒動で倒れ、フランクが助ける
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ボックス・ヒルでエマがベイツ嬢をからかい、ナイトリー氏に叱られる
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フランクの叔母が亡くなり、フランクとジェーンの密かな婚約が明らかになる
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ハリエットが「ナイトリー氏が好き」と言い、エマが自分の気持ちに気づく
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ナイトリー氏がエマにプロポーズし、結婚へ
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ハリエットはロバート・マーティンの二度目のプロポーズを受けて結婚へ
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ジェーンとエマが和解し、フランクとジェーンも結婚へ向かう
物語の主要人物
・エマ・ウッドハウス
ハートフィールドの若い女性で、縁談を取り持つことに熱心
・ジョージ・ナイトリー
ドンウェル・アビーの地主で、エマの近隣の友人として助言する
・ハリエット・スミス
エマの若い友人で、縁談の中心に置かれる
・ロバート・マーティン
裕福な小作農で、ハリエットに結婚を申し込む
・フィリップ・エルトン
ハイベリーの牧師で、エマの思惑と違う行動を取る
・オーガスタ・エルトン
エルトン氏の妻で、村の社交に入り込む
・フランク・チャーチル
ウェストン氏の息子で、ハイベリーに滞在して人々を振り回す
・ジェーン・フェアファックス
教養ある若い女性で、家庭教師として自活を考える
・ミス・テイラー(ウェストン夫人)
元家庭教師で、結婚後もエマの相談相手になる
・ミス・ベイツ
ベイツ家の独身女性で、村の出来事に関わる
縁結びの開幕、ハイベリーは今日も平和に見える
エマの周りは、ハートフィールドやランドールズ、ドンウェル・アビーといった近い距離の人間関係でできていて、会えば会話、会えば噂、みたいな世界。ミス・テイラーの結婚で気分が上がったエマは、次はハリエットの恋を動かそうとする。ナイトリー氏は「それ危ないよ」と釘を刺すけど、エマは聞かない。ここから、善意と自信が勢いよく空回りし始める。
思惑がズレるたび、恋の矢印が変な方向へ飛んでいく
ハリエットの結婚相手としてエルトン氏を推すエマ。ところがエルトン氏は、ハリエットではなくエマ本人に気があると思い込み、求婚してしまう。拒絶されたエルトン氏はすぐ結婚して戻り、ハリエットは傷つき、エマも「私がやった…」となる。さらにフランクが登場して場が華やぐ一方、ジェーンには匿名のピアノが届き、エマはあれこれ推理を始める。推理も恋も、確信っぽく見えるのがまたややこしい。
失礼な一言と秘密の婚約、エマの視界が一気にクリアになる
ボックス・ヒルでの出来事で、エマは自分の振る舞いをナイトリー氏に叱られて反省し、ベイツ嬢を訪ねて償おうとする。そのころ、フランクとジェーンが密かに婚約していたことが判明し、エマの読みは大外れだったとわかる。さらに追い打ちのように、ハリエットが「好きなのはナイトリー氏」と言い出して、エマは自分の気持ちを誤魔化せなくなる。結果、ナイトリー氏はエマにプロポーズ。ハリエットはロバート・マーティンの二度目のプロポーズを受け、ジェーンとフランクも結婚へ向かう。
この小説のポイント
・善意の「お節介」が、どれだけ人の心を動かしてしまうか
・噂、勘違い、推理ごっこが、狭い社交圏で加速する面白さ
・エマが失敗して、反省して、関係を結び直していく流れ
・階級意識や体面が、恋愛や結婚の話に絡みつく感じ
・誰が誰をどう見ているか、視点のズレが物語を転がすところ
たぶんこんな小説
村の会話と視線だけで、恋と誤解が増殖していく感じが楽しい。大事件が起きるというより、ちょっとした一言や思い込みが積み重なって、気づいたら人間関係が別物になってるタイプ。読後は、登場人物たちがちゃんと落ち着く場所に着地していく余韻が残るやつ。

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