※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
分別と多感
(Sense and Sensibility)
作品データ
著者:ジェイン・オースティン
ジャンル:恋愛/社会小説
理性派の姉と情熱派の妹が恋で転びまくって、最後にちゃんと立ち上がる話
父の死で生活が一気に苦しくなった三姉妹は田舎の小さな家へ引っ越し。姉は静かに想いを抱え、妹は運命みたいな恋に全力で突っ走る。ところが秘密の婚約、手紙の空振り、冷たい再会、家の事情とお金の都合が全部絡まって、恋は思ったよりシビアに崩れていく。大事件と病を越えて、それぞれが自分のやり方で幸せに着地する。
ざっくり時系列
父が亡くなる
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異母兄が援助する約束をするが、妻の説得で反故になる
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一家が領地を出て、デヴォンのバートン・コテージへ移る
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妹が捻挫し、偶然助けた男性と急接近する
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彼が借金と親族の都合でロンドンへ行き、妹が動揺する
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姉が想いを寄せる男性に「秘密の婚約」があると告げられる
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姉妹がロンドンへ行き、妹は舞踏会で冷たい現実にぶつかる
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過去の醜聞が明かされ、秘密の婚約が家にバレて破談圧力がかかる
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妹が雨の散歩のあと重い熱病になり、山場が来る
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誤解がほどけ、結婚がまとまり、姉妹は隣人として暮らせるようになる
物語の主要人物
・エリノア・ダッシュウッド
分別のある長女。感情を表に出しすぎず家族を支える
・マリアンヌ・ダッシュウッド
多感な次女。恋も音楽も情熱で突っ走る
・エドワード・フェラーズ
兄嫁の兄。長女と惹かれ合うが、ある事情を抱える
・ジョン・ウィロビー
次女を助けて急接近する男性。華やかだが足元が怪しい
・ブランドン大佐
一家の周囲にいる紳士。次女を見守り、重要な局面で動く
・ルーシー・スティール
姉に近づき、秘密の切り札を見せてくる女性
住む場所を失った一家が、田舎のコテージで恋の火種を拾う
相続の流れで、母と三姉妹はサセックスの領地を離れ、親戚の厚意でデヴォンのバートン・コテージへ。そこで社交の輪が一気に広がり、長女は静かな好意を育て、次女は散歩中の事故をきっかけに「これは来た」と思う出会いを引き寄せる。周囲の視線や噂も含めて、田舎の空気はあたたかいけど、わりと容赦がない。
手紙と沈黙と秘密の婚約で、恋がジワジワ息苦しくなる
次女の恋は一度は勢いづくのに、相手が突然ロンドンへ行き、置いていかれた側の気持ちだけが空回りする。長女のほうはもっと厄介で、相手に「昔からの約束」があると知らされるのに、周囲の前では平気な顔を続けるしかない。さらにロンドンでは、偶然の再会が一番きつい形で襲ってきて、現実の冷たさが刺さる。恋って気持ちだけじゃなく、家と金と立場がガッチリ噛んでくるんだな…って感じの展開。
破滅寸前の熱病の夜に、全部の本音が集まってくる
心が折れた次女は、無理を重ねた果てに雨の散歩から腐敗熱にかかり、命の危機に。ここで周囲が本気で動き、見守ってきた人が母を連れてきたり、当人の前に現れて「本当はこうだった」と言い残したりして、感情の決算が一気に進む。回復後、次女は自分の大げささを恥じて態度を改め、長女も長女で、ずっと胸の中にしまっていた痛みがやっと報われる方向へ流れ出す。
この小説のポイント
・相続と生活費の問題が、恋愛を現実側からガッツリ揺さぶる
・姉妹の対照がわかりやすいけど、どっちも成長していく流れがある
・秘密の婚約や手紙のやり取りが、関係を動かすスイッチになっている
・田舎とロンドンの社交の違いが、恋の温度差として効いてくる
たぶんこんな小説
家の事情で人生が組み替えられて、その中で恋が揺れて、泣いて、意地を張って、回復していく感じ。会話や行儀、噂の回り方がじわっと効いてきて、恋の場面は甘いだけじゃなくて手触りが現実寄り。読み終わると、姉妹がちゃんと隣で生きていける場所に着地した、っていう安心感が残る。

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