※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
高慢と偏見
(Pride and Prejudice)
作品データ
著者:ジェイン・オースティン
ジャンル:恋愛/社会風俗小説
先入観で人を裁いた女が、最悪の男を選びかけて、最後にいちばん厄介な恋に落ちる話
ロングボーンのベネット家は娘5人。相続の都合もあって、とにかく誰かが良い縁をつかまないと詰む。そこに裕福な独身のビングリーが来て、長女ジェーン・ベネットといい感じになる一方、親友のフィッツウィリアム・ダーシーは感じが悪くて次女エリザベス・ベネットに嫌われる。さらにジョージ・ウィッカムの告げ口でダーシーへの不信が強まるけど、手紙で事情がひっくり返り、エリザベスは自分の判断の速さと偏りを痛感する。そこへ末妹リディア・ベネットの駆け落ち事件が起き、名誉が崩れかけるが、裏でダーシーが尻ぬぐいしていたと分かって流れが変わる。最後はダーシーが再度求婚し、エリザベスも受け入れる。
ざっくり時系列
ビングリーがネザーフィールドに来る
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舞踏会でダーシーが冷たい態度、エリザベス反発
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ビングリーとジェーンが近づく
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コリンズが結婚相手探しに来て、エリザベスに求婚→断られる
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ウィッカムが「ダーシーにひどく扱われた」と語る
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ダーシーがビングリーをロンドンへ促し、ジェーンと引き離される
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ケントで再会、ダーシーが求婚→エリザベス激しく拒絶
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ダーシーの手紙で、ウィッカムの過去と妹ジョージアナの件、引き離しの理由が明かされる
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ダービーシャー旅行でペンバリー訪問、ダーシーの態度が一変
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リディアがウィッカムと駆け落ち
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ロンドンで追跡、結婚が成立(費用と手間をダーシーが負担していたと判明)
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ビングリー帰還、ジェーンに求婚→成立
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レディ・キャサリンが圧力をかけるが、エリザベスは確約を拒む
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ダーシーが再求婚、今度は受け入れられる
物語の主要人物
・エリザベス・ベネット
ベネット家の次女。機知と率直さで動くが、第一印象で決めつけがち
・フィッツウィリアム・ダーシー
ビングリーの親友。傲慢に見える態度が誤解を呼ぶが、エリザベスに惹かれていく
・チャールズ・ビングリー
裕福で愛想のよい独身男性。ジェーンに惹かれるが周囲の意見に流されやすい
・ジェーン・ベネット
ベネット家の長女。周囲の良い面を見ようとする
・ジョージ・ウィッカム
民兵隊の将校。魅力的に振る舞い、ダーシーへの悪評を広める
・コリンズ
牧師でロングボーンの推定相続人。結婚相手を探しにベネット家を訪れる
・レディ・キャサリン・ド・バーグ
ダーシーの叔母。結婚話に強く干渉する
・リディア・ベネット
ベネット家の末娘。駆け落ちで一家の名誉を揺るがす
第一印象が最悪な男と、将来が最悪に近い家
舞台は19世紀初頭、ナポレオン戦争のころ。ベネット家は娘が5人いるのに地所が男系相続で、家の先行きがピリついてる。そこへ独身で金持ちのビングリーが来て、社交界は一気にざわつく。舞踏会でビングリーはジェーンに好意を示すけど、ダーシーはよそよそしくて、エリザベスを「誘うほど美人じゃない」と言ってしまう。エリザベスも冗談で流しつつ、内心は結構やられる。ここから、誤解と反発の火種がずっとくすぶる。
甘い噂と、気のいい悪党が“確信”を作ってしまう
そこにウィッカムが登場して、ダーシーにひどい目に遭わされたと打ち明ける。エリザベスはもともとの反感もあって、その話を信じやすい。さらに母の早とちりや社交の空回りも重なって、状況はややこしくなる。エリザベスはコリンズの求婚を断り、コリンズは友人シャーロットと結婚。いっぽうダーシーは、ジェーンがビングリーに無関心だと思い込み、家族の礼儀のなさも理由にして、ビングリーをロンドンへ動かし、ジェーンとの流れを切ってしまう。エリザベスは「やっぱりダーシー最低」と確信していく。
手紙一通で、世界が反転して、駆け落ちで全部が崩れかける
ケントで再会したダーシーは突然エリザベスに求婚するが、エリザベスは怒って拒絶し、ウィッカムの件やジェーンの件で責め立てる。翌日、ダーシーの手紙で事情が説明される。ウィッカムは教区の地位を拒み、資金を浪費し、妹ジョージアナと駆け落ちして持参金を狙ったこと。ビングリーとジェーンを引き離したのは、ジェーンの無関心に見えた態度と家族への印象が原因だったこと。エリザベスは、自分の偏りや母の振る舞いを恥じる。
数か月後、ダービーシャー旅行でペンバリーを訪ねると、留守のはずのダーシーが帰ってきて、驚くほど親切に接する。エリザベスの気持ちは揺れ始めるが、その矢先にリディアがウィッカムと駆け落ちした知らせが届く。一家の名誉が崩れかけ、追跡の末に結婚は成立するが、のちに費用と苦労の大部分をダーシーが引き受けていたと分かっていく。
この小説のポイント
・相続と家計の現実が、恋愛の駆け引きを超えて、行動の動機になってる
・「感じ悪い」「感じいい」が、だいたい当てにならない
・手紙で状況がひっくり返る瞬間が、エリザベスの成長の芯になってる
・一家の評判が揺らぐ事件が、恋の行方にも直撃する
たぶんこんな小説
お金と家の都合がずっと背景にあって、その上で人が人をどう見誤るか、どうやって見直すかが動いていく感じ。会話は軽やかなのに、ところどころで「これ、人生の話だな」って空気が差し込んでくるタイプかも。読んでる側も一緒に、第一印象の危うさを踏む感覚になりそう。

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