※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
マンスフィールド・パーク
(Mansfield Park)
作品データ
著者:ジェイン・オースティン
ジャンル:恋愛小説/家庭小説/社会風刺
貧しい少女が名家に預けられ、最後にいちばん大事な場所を選び取る話
10歳で貧しい実家を離れ、名家マンスフィールド・パークに引き取られたファニー・プライス。控えめで立場の弱い彼女は、周囲の打算や虚栄、恋の駆け引きを間近で見ながら成長していく。誘惑や不倫、結婚という現実的な選択が交差する中で、ファニーは流されず、自分が何を信じるかを静かに貫き、最後に本当に安らげる場所へと辿り着く。
ざっくり時系列
ポーツマスの貧しい家からマンスフィールド・パークに送られる
↓
叔母一家のもとで肩身の狭い幼少期を過ごす
↓
サー・トーマスがアンティグアへ出立
↓
クロフォード兄妹が牧師館に来訪
↓
若者たちが芝居遊びに熱中する
↓
サー・トーマス帰還、芝居は中止
↓
マリアがラッシュワースと結婚
↓
ヘンリーがファニーに求婚するが拒否
↓
ファニーは実家ポーツマスへ戻される
↓
マリアとヘンリーの不倫が発覚
↓
エドマンドとファニーが結ばれる
物語の主要人物
・ファニー・プライス
貧しい家から預けられた少女。物語の主人公
・エドマンド・バートラム
牧師を志す次男。ファニーの理解者
・サー・トーマス・バートラム
マンスフィールド・パークの当主
・バートラム夫人
ファニーの叔母。サー・トーマスの妻
・ノリス夫人
バートラム夫人の姉。ファニーに厳しい
・マリア・バートラム
バートラム家の長女。打算的な結婚を選ぶ
・ジュリア・バートラム
次女。姉への対抗心を抱える
・ヘンリー・クロフォード
女性関係に奔放な男性
・メアリー・クロフォード
ヘンリーの妹。社交的で現実的
親戚の善意に包まれた、息苦しい子ども時代
ファニーは10歳でマンスフィールド・パークに迎えられるが、そこは安心できる場所というより、常に自分の立場を意識させられる環境だった。エドマンドだけが彼女を気にかけ、精神的な支えとなる。一方でノリス夫人の干渉や、従姉妹たちの冷たい態度が、ファニーを内向的にしていく。
華やかな来客と、揺れ始める人間関係
クロフォード兄妹の登場で屋敷の空気は一変する。芝居の稽古を通じて感情が刺激され、マリアとヘンリーの距離は危うく縮まる。エドマンドもメアリーに惹かれるが、彼女は彼の聖職志望に違和感を抱いている。楽しさの裏で、節度が少しずつ崩れていく。
不倫の発覚と、静かな選択の結末
ヘンリーの求婚をファニーは断り、実家へ戻される。やがてマリアとヘンリーの不倫が公になり、一家は混乱に陥る。失望の中でエドマンドはメアリーと決別し、変わらず誠実だったファニーの価値に気づく。二人は結婚し、牧師館で新しい生活を始める。
この小説のポイント
・控えめな主人公を中心に描かれる成長
・恋愛と結婚をめぐる現実的な判断
・家庭と社会の価値観のズレ
・誘惑に流されない姿勢の強さ
たぶんこんな小説
大きな事件が連続するというより、人の言動や選択がじわじわ効いてくる感じ。華やかな人ほど危うく、地味に見える人ほど芯が強い、そんな対比が静かに積み重なっていく物語。読後には、派手さよりも誠実さが残る。

コメント